フレキシブルオフィス導入のメリットや課題とは?制度設計のポイントと活用シーンを解説

「フレキシブルオフィス」とは、「柔軟に利用できるオフィス」の総称であり、「シェアオフィス」「コワーキングスペース」「レンタルオフィス」などがこれに該当します。
今回の記事では、
- 自社の発展や働き方の見直しのために、フレキシブルオフィスの導入を検討している方
- 「オフィス移転」か「拠点分散」で迷っている方
のために、フレキシブルオフィスの基本(メリット・課題・制度設計のポイントなど)を、オフィス移転・改装を手がける株式会社オリバーが解説します。
- フレキシブルオフィスとは?シェアオフィス・コワーキングスペースとの違い
- 企業と社員からみたフレキシブルオフィス導入のメリット
- フレキシブルオフィス導入時に知っておきたい課題・デメリット
- 自社の課題を解決!フレキシブルオフィスの具体的な活用シーン
- 失敗しないフレキシブルオフィスの導入と制度設計のポイント
- ワークプレイス戦略としてのフレキシブルオフィス活用
について、詳しく解説します。
フレキシブルオフィスとは?シェアオフィス・コワーキングスペースとの違い

まずは、フレキシブルオフィスとは一体どんなオフィスを指すのか、改めて定義を確認しておきましょう。
フレキシブルオフィスの一般的な定義
フレキシブルオフィスとは、自社ではない運営団体が経営しており、賃貸契約よりも柔軟な期間・規模で利用できる、オフィス機能(家具・Wi-Fi・会議室など)が整った「シェアオフィス」「コワーキングスペース」などの総称です。
「すぐに用意できて、すぐに手放せる」という身軽さが大きな特徴であり、スタートアップから大手企業まで、事業戦略に合わせて幅広く活用されています。
現在多くの企業がフレキシブルオフィスを活用しており、その背景には主に以下の3つの軸が挙げられます。
- 社員の利便性向上:出先での作業場所確保など
- セキュリティの確保:周囲を気にせずWeb会議を行える環境など
- オフィス戦略の柔軟化:人員増加による一部部署の分散や、プロジェクト単位での期間限定利用など
出張時の一時利用だけでなく、特定のチームが一日中滞在する「第2のオフィス」として活用されるケースも増えています。
| 目的 | 概要 |
| 出張時や外出時のスキマ時間の活用 | 出張時・外出時、自社オフィスに戻るほどではないが、一時的に集中して仕事ができる「ちょっとした働く場所」を確保する。 |
| Web会議に適した環境の確保 | カフェなどでWeb会議を行うと、周囲に会話が聞こえてしまい、情報漏洩のリスクがある。 そこで、防音性の高い時間貸しのワークブースなどを利用し、周囲を気にせず会議を行うニーズが高まっている。 |
| 一部部署やプロジェクトの専用拠点確保 | 自社オフィスの手狭化の解消や、期間限定プロジェクトの拠点として活用。 一部の社員が1日中滞在して仕事をする「サテライトオフィス(第2のオフィス)」として利用するケースも増えている。 |
シェアオフィスとコワーキングスペースの目的・特徴の違い
シェアオフィスとコワーキングスペースは同じものと捉えられることがありますが、厳密には目的・特徴に違いがあります。
シェアオフィスは、「『交流』を主な目的とせず独立した作業空間を確保する」ことが目的で、レンタルした個室内で業務を行い、ラウンジなどの共用部のみを他の利用者と共有するスタイルが多いです。
一方コワーキングスペースは、「他の利用者との『交流』や『共存』」を主な目的としており、複数の企業や個人が同じ空間で一緒に働く、オープンなスタイルが特徴です。
月額利用のほか、ドロップイン(1日だけの単発利用)など、柔軟な借り方が可能です。
つまり、交流や共存を求めるかどうかによって、選ぶべきフレキシブルオフィスが違うということです。
企業と社員からみたフレキシブルオフィス導入のメリット

フレキシブルオフィスにはどのようなメリットがあるのか、企業の視点・社員の視点から、解説します。
【企業側のメリット】コスト最適化とビジネス機会の創出
コストを最適化できる
出社率が減っている(=無駄なスペースがある)オフィスを、フレキシブルオフィスの活用によって縮小すれば、コストを最適化することができます。
ビジネスチャンスの喪失を防ぐことができる
自社オフィスでも先方のオフィスでも自宅でもない、「第4の働く場所」が生まれることで、移動による時間のロスを防ぎ、結果としてビジネスチャンスの喪失を防ぐことができます。
【社員側のメリット】移動時間の削減とWeb会議環境の確保
疲労感が軽減され、移動時間の無駄が減る
出張先や外回り中に、自社に戻ることなく仕事ができることで、疲労感が軽減されるほか、移動時間の無駄が減ります。
これは、エンゲージメント(※1)の充実にも繋がることが期待できます。
(※1 エンゲージメントとは、企業と社員の間の「親密な関係性」や「結びつき」のことです。単なる満足度ではなく、対等な立場で互いに貢献し合おうとする「愛着心」や「忠誠心」を指し、生産性向上や業績アップ、離職率低下が期待できる指標の1つとして注目されています。)
フレキシブルオフィスは設備が充実していることが多いので、自社オフィスではなくてもストレスなく働くことができます。
周囲を気にせずWeb会議を行える
カフェでは周囲への迷惑や情報漏洩の懸念があるため「Web会議」を行うことは難しいですが、フレキシブルオフィスの専用ブース内であれば、周囲を気にせずWeb会議を行うことができます。
フレキシブルオフィス導入時に知っておきたい課題・デメリット

フレキシブルオフィスを導入するにあたっては、メリットだけではなく、フレキシブルオフィスの課題・デメリットも把握する必要があります。
【企業側の課題】コスト増加のリスクと社員管理・セキュリティへの懸念
追加費用が発生する
既存オフィスを残したままフレキシブルオフィスを導入する場合、従来のオフィス賃料に加えて追加費用が発生します。
利用人数が増えれば増えるほど、通常のオフィス賃料よりも「坪単価」が割高になるケースも多いです。
労務・業務管理が複雑になる
社員が働く場所が分散するため、誰がどこで何をしているのかわからず、労務・業務管理が複雑になります。
情報漏洩リスクの懸念がある
フレキシブルオフィスには不特定多数が出入りするため、パソコンの画面見えや会話の漏れなど、「情報漏洩リスク」の懸念があります(特にオープンなコワーキングスペース)。
【社員側の課題】満席で利用できないリスクと、公共空間での心理的負担
満席で利用できないリスクがある
フレキシブルオフィスは、フリーエリアにある個室が必ず空いているとは限らず、混雑時には座席を確保できないリスクがあります。
また個室が空いていない場合、少しの電話をするにも専用の「電話ブース」へ移動しなくてはいけないなど、手間が生じます。
周囲に知らない人がいることが心理的負担になる可能性がある
企業で個室を借りずに、オープンスペースのみを契約している場合、周囲に知らない人がいることによって、常にセキュリティを気にする心理的な負担が生じます。
セキュリティ対策は万全でも、「周りに知らない人がいる」こと自体を、負担に思う社員もいるでしょう。
また、フレキシブルオフィスによって使用のルールや、使える設備が違うことを、ストレスに思う社員もいます。
自社の課題を解決!フレキシブルオフィスの具体的な活用シーン

以下では、フレキシブルオフィスの具体的な活用シーンを、いくつか紹介します。
1.出張時・外出時のスキマ時間活用や新たなビジネス交流
全国展開しているフレキシブルオフィス(シェアオフィスやコワーキングスペース)の場合、契約していれば全国どこの店舗でも相互利用できるケースが多くあります。
そのため、出張時や外出先でも「いつもの環境」でスムーズに一時利用できることが大きな強みです。
それだけではなく、あえて人が集まる場所で働き、施設主催の交流イベントに参加することで、人脈(ビジネスの繋がり)を作ることもできます。
2.短期プロジェクトや地方拠点の見直し
フレキシブルオフィスは、期間限定のプロジェクトの専用拠点として活用することができます。
また、地方の広い営業拠点を解約し、小さなシェアオフィスに切り替えることで、コストを最適化することもできます(1~2年の一時的なニーズが主流です)。
3.人員増加による「自社オフィス移転までの繋ぎ」としての活用
企業の急成長により社員が増え、「今のオフィスでは席が足りない!」という課題を抱えるケースがあります。
そのような場合、新しいオフィスへ移転するまでの「一時的な拡張スペース」として、フレキシブルオフィスを活用する企業は非常に多いです。
失敗しないフレキシブルオフィスの導入と制度設計のポイント

フレキシブルオフィスの導入に失敗しないために、おさえておくべきポイントを、以下で紹介します。
1.導入目的の明確化と利用ガイドラインの策定
制限なく自由にフレキシブルオフィスを利用すると、個室料金などにより、会社が多額の費用を負担しなくてはいけなくなります。
そのため、「どのような業務の時に」「どこまで経費利用を許可するのか」を定める、明確なガイドラインの策定が必須です。
また、社員がただ好き勝手に働いてよいわけではなく、「ビジネスチャンスの喪失を防ぐため」「生産性を高めるため」といった、企業としての導入目的をぶらさずに運用することが大切です。
2.情報セキュリティルールの徹底
自社オフィスは「自社員しかいない安全な空間」ですが、フレキシブルオフィス(特にコワーキングエリア)は「不特定多数が混在する公共空間」です。
フレキシブルオフィスをセキュリティの観点から「安全」に活用するためには、公共Wi-Fiへのアクセスの可否や、持ち出してもよい情報のレベル、電話の声漏れ対策など、明確なセキュリティマニュアルを策定する必要があります。
3.対象者を限定した「スモールスタート」での効果検証
フレキシブルオフィスの活用を、最初から全社員対象にするのではなく、「外回りが多い営業部署」「マネージャークラス以上」など小さく絞って始めると、うまくいかなかった場合に被る「損害」が少なくて済みます。
最初から「どのくらいの割合で導入するのが正解か」を判断するのは困難です。
そのため、「実際にどれくらい使われているか」「費用対効果や働きやすさにどう影響したか」といったデータを取り、継続的に分析・改善していくことが必要です。
4.単純な「コスト削減」ではなく「目に見えない価値」を評価する
フレキシブルオフィスの利用人数が増えるほどに、坪単価は割高になるため、単純なコスト削減だけを目的にすると、失敗しやすいです。
そのため、コスト比較表だけを見るのではなく、「社員の働きやすさ(働き方の質が上がったか?)」や「採用活動へのプラス効果」といった、「目に見えない価値」をどこまで評価できるのかが、フレキシブルオフィス導入成功の鍵です。
先述した、エンゲージメントを意識した評価を行うことも有効です。
<関連コラム>
→ 従業員エンゲージメントとは?信頼関係向上させるための施策や事例を徹底解説!
ワークプレイス戦略としてのフレキシブルオフィス活用

経営戦略に基づいて働く場所を最適化する「ワークプレイス戦略」。
これを成功に導くためには、単純なコスト比較だけでなく、社員の生産性への影響を含めた専門的な分析が有効です。
フレキシブルオフィスが合う企業・合わない企業
以下は、フレキシブルオフィスが合う企業・合わない企業について、簡単に比較したものです。
| フレキシブルオフィスが合う企業 | ・何のために導入するのか目的が明確で、それに基づいたガイドラインを策定・運用できる企業 ・数字には表れにくい定性的な価値も正しく評価できる企業 |
| フレキシブルオフィスが合わない企業 | ・単純にコスト削減を目指している企業 ・「自由に働かせること」と「企業としての統制」のバランスを取ることが難しい企業 |
フレキシブルオフィスの導入を迷っている企業へのアドバイス
フレキシブルオフィスの導入を検討する際、単なる「コスト削減」だけを目的にするのはおすすめしません。
利用者が増えると、かえって割高になるケースも多いためです。
自社の抱える課題を根本的に解決するためには、以下のどの選択肢が最適なのか、全体的な視点から検討する必要があります。
- 現在のオフィスを残しつつ、外部の「フレキシブルオフィス」を併用(一時利用やサテライト拠点など)するべきか
- 現在のオフィスを「改装」し、働き方に合わせてレイアウトを変更するべきか
- 自社に合った広さや立地のオフィスへまるごと「移転」するべきか
「自社にはどの働き方が合っているか」「それぞれコスト対効果はどうなるか」でお悩みの際は、プロにご相談してはいかがでしょうか。
オリバーでは、フレキシブルオフィス活用のシミュレーションから、現状オフィスの改修、新規移転まで、コストと効果を可視化しながらお客様に最適なワークプレイスを柔軟にご提案いたします。
まとめ
以上、オフィス移転・改修を手がける株式会社オリバーの視点から、
- フレキシブルオフィスとは?シェアオフィス・コワーキングスペースとの違い
- 企業と社員からみたフレキシブルオフィス導入のメリット
- フレキシブルオフィス導入時に知っておきたい課題・デメリット
- 自社の課題を解決!フレキシブルオフィスの具体的な活用シーン
- 失敗しないフレキシブルオフィスの導入と制度設計のポイント
- ワークプレイス戦略としてのフレキシブルオフィス活用
について、解説しました。
フレキシブルオフィスのメリット・課題・デメリットを把握したうえで、フレキシブルオフィスを活用するうえでの制度(ルール)をきちんと策定し、スモールスタートさせることで、フレキシブルオフィス導入の成功確率は上がります。
効果検証においては、「目に見えない価値(働きやすさ・採用力の強化)」を評価する姿勢が重要です。
ちなみに近年では、ビルオーナー側が共用部にコワーキングスペースやシェア会議室を用意するケースも見られます。
これは、ビルの付加価値を高めることでテナントに選ばれる魅力的なオフィスビルを作り、賃料水準の向上や空室率の改善に繋げる「ビル自体のバリューアップ」の一環です。
テナント企業にとっても、自社内に会議室やリフレッシュスペースを多く抱える必要がなくなるというメリットがあります。
「働き方の選択肢」が広がるなか、自社に最適なオフィス環境をつくるための相談窓口として、オリバーをご活用いただければ幸いです。