オフィス照明を計画する際のポイントとは?照明計画が得意な業者の選び方や事例も紹介

オフィスの照明は、オフィスの働きやすさや、オフィスの印象を大きく左右します。
新しいオフィスビルにテナントとして入居する場合、あらかじめ照明が付いている場合が大半であるため、照明計画は必須ではありませんが、「より良いオフィスにする」という観点では、やはり照明計画は重要となります。
今回の記事では、
- 新しいオフィスの照明計画を成功させたい
- 照明計画を良い業者に依頼したい
と考えている担当者さまに向けて、
上記について、オフィス移転・改装を手がけるオリバーがしっかりと解説していきます。
オフィス照明を計画する際に把握しておくべき5つのポイント

- ストレスなく働くためには照明計画は大切な要素
- オフィスビルにあらかじめ取り付けられている照明器具について
- 照明は空間デザインとセットで考える
- 賃貸契約のオフィスの場合の注意点
- イニシャルコストとランニングコストを抑えるために大切なこと
上記は、オフィス照明を計画するにあたって、把握しておくとよい5つのポイントです。
それぞれのポイントについて、順に解説していきます。
1.ストレスなく働くためには照明計画は大切な要素
オフィスの照明計画は、会社にとってどのくらい大切なのでしょうか。
一般的なオフィスビルにテナントとして入居する場合、あらかじめ照明器具が取り付けられており、基本の照度(明るさの度合)は足りています。
そのため照明器具を取り替えなくても、オフィスとして使用することに大きな不具合はないはずです。
「それならば照明のことはあまり考えなくてもよいのでは?」と思われるかもしれませんが、当社は「照明計画を行うことで、よりよいオフィスになる」という考えを持っています。
「業務に応じて最適な場所で働こう」というABW(Activity Based Working)の考え方が主流になりつつありますが、それと同じで、「場所に応じて照明も変えるべき」と考えるためです。
エントランス・応接室・会議室・執務室・個室など、部屋の目的に応じて照明計画をすることで、部屋の使いやすさ(=働きやすさ)は向上します。
ストレスなく働けるようにするためには、照度計算も重要です。
例えば、会議室を意図的に暗くした場合、暗すぎると使いにくくなってしまいます。
また、省エネを理由にLEDを導入したけれども、光が強すぎて目が疲れるということもあります。
予算やスケジュールの都合で、照明計画を見送る企業もありますが、可能であれば行ったほうがよいでしょう。
2.オフィスビルにあらかじめ取り付けられている照明器具について
オフィスビルにあらかじめ取り付けられている照明器具について、もう少し詳しく解説しておきましょう。
厚生労働省が発表している労働衛生基準によると、「一般的な事務作業」は300ルクス以上の明るさが求められており、ほとんどのオフィスではこれを満たせるような計画がしてあります。
まんべんなく、オフィス区画全体を均一に明るくしているイメージです。
規格の明るさは「明るめ」で、紙に字を書くことに適した照度であり、現在のようにパソコンを多用する業務では、明るすぎるかもしれません。
その一方で、間仕切りによって執務室や会議室などを区切る影響で、「意図しているよりも暗いところ」が出てくることもあります。
よって、オフィスの区切り方にも配慮した照明計画をすることが理想的です。
3.照明は空間デザインとセットで考える

先にも述べたように、照明をわざわざ選択しなくても、オフィスビルに入居することはできますが、それでは快適な仕事環境にはなりにくいです。
「FFE」という言葉をご存知でしょうか。
これは、「Furniture(家具)」「Fixture(什器)」「Equipment(備品)」の略称です。
家具だけよいものにしても、床や天井、そして照明も変えなくては“よいオフィスの完成”は目指せません。
そして照明は、空間デザインとセットで考える必要があります。
例えば、「照明(人工の光)」と「窓(自然の光)」の関係を、しっかりと考慮します。
例えば昼間の明るさは、窓に面しているところとそうでないところで、大きく変わります。
「南向きに窓があるのか?」「西向きに窓があるのか?」などによっても違いがあり、西向きに窓があるところでは、夕方に強く光が入ってくることがあります。
また光は反射するため、天板・床・壁の仕上げ材の色から影響を受けます。
白系の仕上げ材は反射が多いため、明るく感じやすくなり、逆に黒系の仕上げ材の部分は、反射が抑えられ、暗く感じやすくなります。
4.賃貸契約のオフィスの場合の注意点
「賃貸契約のオフィスだから、照明器具の取り替えができなかったり、制限があったりするのでは?」と考える人もいるでしょう。
実際のところは、「照明器具の取り替えはできるが、工事が“B工事区分”になる」というケースが多いです。
B工事とは、「(テナントが建物の一角を賃借している場合に)テナントの専有部分でありながら建物全体に影響を与える部分の工事」のことです。
B工事は、借主側の要望により、借主側の費用負担で、オーナーの指定業者へ工事発注を行います。
既存のベース照明(カセットが天井に埋め込まれている、等)を外して、新しいダウンライトを取り付けるのがよくあるケースです。
もっと大がかりになると、1度天井を解体することもありますが、もちろんコストがかかります。
大がかりな工事をすると、折上げ天井に間接照明を仕込んだり、配線ダクトを敷き詰めて、スポットライトで照度を取ることなど、多彩な演出が可能となります。
5.イニシャルコストとランニングコストを抑えるために大切なこと
照明計画をするにあたって、「イニシャルコスト(照明導入のために必要なお金)と、ランニングコスト(月々の光熱費など、照明を使うために必要なお金)の両方のバランスで考えたい」という要望があるでしょう。
当社では、イニシャルコストを抑えるためには、不必要な照明器具の取り付けは省くことと、追加工事が必要にならないように事前協議をしっかり行うことが重要だと考えています。
またランニングコストを抑えるためには、不必要な照明器具の点灯はしないことや、不必要に明るい(消費電力が大きい)照明器具は採用しないこと、LEDなど省エネ効果がある照明器具を採用することなどが重要です。
なお、照明の種類は2種類に大別されます。
「意匠照明」と「ベース照明」です。
「意匠照明」は、空間演出のための照明で、照度への影響があまりないため、完成後に問題になることも少ないです。
一方、「ベース照明」は照度を左右するため、事前の打ち合わせ・計画を緻密に行わなくてはいけません。
どのような計画にするとよいのかは、イメージに近いオフィスを見学すると、参考にすることができます。
オリバーでは、オフィス見学を受け付けています。
詳しくは以下をご覧ください。


オフィス照明を計画する際、部屋ごとに意識するべきポイント
- オフィス全体
- 執務室
- 会議室・会議スペース
- Web会議スペース
- 集中スペース
- リラックススペース
- エントランス
- 色を選ぶ業務を行うスペース
オフィス照明を選ぶ際には、“部屋ごとに意識するべきポイント”があります。
1.オフィス全体の照明選び

オフィス全体については、調光できる仕様にすることがオススメです。
新オフィスが完成した時に、万が一明るさが気に入らない場合のリスク回避策になります。
ただし、調光できるようにするにはコストがかかります。
また実際のところ、1度調整すると、その状態に手を加えることはほとんどありません。
手を加えることがない理由は、そもそも適切な照度計算を行って、照明計画を実施するからです。
「時間帯によって色温度を変えると健康上よい」という見解がありますが、そのようにするかは会社ごとの判断になります。
心地よく働くことができる可能性は高いですが、夕方以降に眠くなる可能性もあり、社内調整が必要でしょう。
上記について検討してみたい方は、「サーカディアンリズム」について調べるとよいでしょう。
サーカディアンリズムとは、“生物が地球の自転による昼夜変化に同調して、約24時間周期で体内環境を変化させる機能”のことです。
サーカディアンリズムを整えるためには、
- 朝に強い光を浴びる
- 夕方から夜にかけて強い光を見ないようにする
ことなどが、有効とされています。
2.執務室の照明選び

執務室の照明選びで重要なポイントは、執務の種類により変わります。
先述したように、紙に文字を書く執務に明るさを合わせると、パソコンを使った執務においては明るすぎる場合があります。
基本的に照度が高い空間では、“一点集中”がしやすい一方、長時間過ごすと目が疲れやすいです。
学習塾などが、これに該当するでしょう。
学習塾の教室はとても明るく、生徒たちは“一点集中”して授業に参加することができます。
ただし、集中力は長続きしない(目も疲れる)ので、60分や90分に1回、休憩を挟むことが普通です。
執務は「1コマ」というような単位がある授業とは違い、休憩なしで2〜3時間稼働することがよくあるので、(教室などと比べて)少し照度を落とすとよいでしょう。
また、「光源の位置」についての意識も、ある程度必要です。
例えば、スポットライトを使ったり、光源の数が少ない代わりに強い光が出る照明を使う計画においては、これらを使うことによる「影」ができることに留意して、取付位置や数を決める必要があります。
3.会議室・会議スペースの照明選び

会議室・会議スペースの照明は、会議の目的に応じて選ぶとよいでしょう。
短時間で明確なことを伝える目的であれば、全体的に明るいほうがよいでしょう。
逆に、落ち着いてゆっくりとお互いが会話をする目的であれば、少し落ち着いた明るさのほうが適しています。
4.Web会議スペースの照明選び

Web会議用のスペースでは、周囲を含めて明かりが足りないと、背景が真っ暗になってしまいます。
画面越しの相手に良い印象を持たれるためには、背景が真っ暗にならないように、ある程度明るい空間にすることをオススメします。
また、演色性(色の再現度)に優れたライトを取り付けると、顔が綺麗に映りやすいです。
5.集中スペースの照明選び

時間帯や業務によって、最適な照明は異なります。
明るすぎる照明では、業務が長続きしない懸念があるため、手元だけを照らす(自分でON・OFFできる)照明を準備したり、調光できる仕様にするとよいでしょう。
6.リラックススペースの照明選び

従業員がひと休みをするリラックススペースにおいては、人工的な白色や強い照度のものは控えたほうがよいでしょう。
赤みのある落ち着いた明るさに調整すると、リラックスしやすくなります。
7.エントランスの照明選び

来客を迎えるエントランスでは、照明による印象的な演出を行うことをオススメします。
例えば、ダウンライトを採用して、空間としてふんわりと光らせるような演出が有効です。
8.色を選ぶ業務を行うスペースの照明選び
デザイナーやアパレル関係の業務内容には、「色を正確に判断する」ことが含まれるため、照明の色味は付いていないほうがよいでしょう。
演色性(色の再現度)を重要視して、照明を選びましょう。
オフィスの照明計画が得意な業者の選び方

「オフィス移転コンサル」を選ぶ場合と同じですが、
- よく事例を見ること
- その会社の人が働いているオフィス環境を見に行くこと
- 相性を見ること
上記が、オフィスの照明計画が得意な業者を選ぶために、必要なことです。
会社ごとの違いについては、
- スケジュール
- 手法
- 費用
- 誰がそれをやってくれるのか
- 類似実績があるか
などに、会社それぞれの違いが出てきます。
打ち合わせ時に質問をして、明確にしておくとよいでしょう。
担当者とは、場合によっては長く付き合うことになるため、フィーリングが合う人・コミュニケーションが取りやすい人に、依頼をすることをオススメします。
オフィスの照明計画が特徴的な事例3選
- TOHOシネマズ株式会社 様
- 株式会社ストラテジーテック・コンサルティング 様
- 【当社】オリバー 東京・日本橋オフィス
オフィスの照明計画が特徴的な企業を、3社ピックアップしました。
それぞれの特徴について、下記で解説していきます。
1.TOHOシネマズ株式会社 様

「TOHOシネマズ株式会社 様」は、全国で70ヵ所を超える映画館を運営されており、お客さまのご来場数は日本トップシェアを誇ります。
従業員の増加による執務環境の改善として、“従業員が心身ともに健康に、効率的に働ける環境を整えること”を目的に移転されました。

エントランスは壁面に間接照明を入れて、“劇場に行った際のワクワク感”や奥へと導かれていくような感覚を、演出しています。
さらにエントランスのコリドー部分は、劇場と同じくグレアレスのダウンライトを使用し、天井面は暗く床に光溜まりができるような計画にしています。

会議室内は、劇場の雰囲気を残しつつも打合せ場所として利用しやすいように、机上面の照度をしっかり確保しています。
執務室内は、快適に働くことのできる照明計画を意識し、従来のオフィスの白っぽいベースライトから、少し温かみのある色温度のダウンライトへと変更しています。
照明はすべて調光できるものとし、眩しくなく・リラックスしすぎない照度に調節しています。
<事例をご覧になりたい方はこちら>
→ 出社したくなる、映画館のようなオフィス|TOHOシネマズ株式会社 様
2.株式会社ストラテジーテック・コンサルティング 様

「株式会社ストラテジーテック・コンサルティング 様」は、幅広い視点や経験を基に、事業戦略や最新テクノロジーを融合したコンサルティングサービスを展開されています。
企業規模拡大によるオフィスの手狭さの解消と、人材採用強化を目的に、本社を移転されました。
ホテルロビーをイメージした空間にするため、システム天井を全て在来天井に作り直し、下がり天井を設けて間接照明を設置することで、照度を担保できる設計としています。
壁面はエンボスが強めのジョリパット仕上げとしており、陰影で空間により動きが出るよう、角度の変えられるユニバーサルダウンライトを設置しています。
また来訪者の視線や動線に配慮して、眩しくないように、グレアレスダウンライトを選定しています。

移転プロジェクトに合わせて刷新されたロゴは、「より周知されるように」という想いを込めてパターン化したグラフィックを壁面に描き、それをより演出できるよう、折上げ天井を設けて間接照明を設置しています。
ベンチの裏にも間接照明を設置しており、同品番にすることで、統一感のある光の演出にしています。
<事例をご覧になりたい方はこちら>
→ 和のエッセンスが来客をもてなす、自由に働けるオフィス|株式会社ストラテジーテック・コンサルティング 様
3.【当社】オリバー 東京・日本橋オフィス

当社オリバーの東京・日本橋オフィスも、照明にはこだわっています。
コワーキングスペースにはペンダントライトを、会議スペースの各所にはダウンライトを置き、デザインと機能性の両方を追求しました。

全体としては、デスクワークやミーティングなど、業務上の機能を満たすなかで画一的になりがちなオフィスを、有機的なデザインで丁寧につなぎ、“唯一無二の空間”として完成させています。
<事例をご覧になりたい方はこちら>
→ オリバー 東京・日本橋オフィス
オリバーが照明計画を実施する際に大切にしていること
オリバーが、照明計画を実施する際に大切にしていることは、「明るさだけではなく、プラスアルファの演出も考えること」です。
働く環境(執務室など)と、出迎える環境(エントランスなど)、それぞれに合った照明を準備します。
「暗すぎると仕事がしづらい」「明るすぎるとチカチカする」といった当たり前のことも、もちろん、念頭に置きます。
そして、光は視線の誘導にもとても役立ち、空間の雰囲気を一変させることがあります。
これらは見落とされがちですが、非常に大切なことです。
まとめ
以上、オフィス移転・改修を手がける株式会社オリバーの視点から、
- オフィス照明を計画する際に把握しておくべき5つのポイント
- オフィス照明を選ぶ際、部屋ごとに意識するべきのポイント
- オフィスの照明計画が上得意な業者の選び方
- オフィスの照明計画が特徴的な事例3選
について、解説しました。
オフィスの移転・改装にあたって、照明計画を行うことは必須ではありません。
しかし照明計画をしっかり行うことで、「より良いオフィスにする」ことができます。
「従業員が心地よく働ける環境にする」という世の中の流れに合流するためにも、予算やスケジュールのバランスを見て、照明計画に取り組むことをオススメします。
オリバーでは、オフィス移転・改装のプロジェクトを数多く手がけています。
オフィス空間づくりにお困りの際は、ぜひ当社までお気軽にご相談ください。


オフィスブランドPlace2.5では、お客さまのビジョンを実現する、唯一無二のオフィス設計を行っています。
また当社では自社オフィスのオフィス見学を実施しています。
今回ご紹介したオリバーのオフィスは全て見学していただくことができます。
詳しくは以下のページをご覧ください。

