オフィスのグループアドレスとは?固定席やフリーアドレスとの違いと導入運用のポイント

近年、オフィス運用において「自社に最適な働き方」をより深く検討される企業様が増えています。
その中で、「グループアドレスとフリーアドレス、今の自社の組織フェーズにはどちらが適しているか?」といった、より具体的なご相談をいただく機会が多くなりました。
今回の記事では、「グループアドレス」について改めて定義したうえで、固定席・フリーアドレスとの違いや、グループアドレスをうまく導入・運用するためのポイントを、オフィス移転・改装を手がける株式会社オリバーが詳しく解説します。
- グループアドレスとは?定義や固定席・フリーアドレスとの違い
- グループアドレスが向いている企業は?導入を判断する3つの基準
- グループアドレス導入前に整理すべきメリット・デメリット
- グループアドレスの失敗原因は運用の形骸化。座席の固定化を防ぐ運用のポイント
- グループアドレスのレイアウトのポイント:機能性を維持しつつ洗練された空間にするコツ
- グループアドレス導入によりワークスタイルの変革に成功したオフィス事例
- グループアドレス導入を支援するオリバーのプロジェクトマネジメント
について、詳しく解説します。
グループアドレスとは?定義や固定席・フリーアドレスとの違い

先述のように、グループアドレスの意味を既に知っている人も多いですが、改めてグループアドレスの定義や他のスタイルとの違いを解説します。
特定のグループ(部署・チーム)内で席を共有するスタイル
グループアドレスとは、オフィス内のエリアを限定し、その中で座席を自由に選ぶ働き方のことで、フリーアドレスの派生形です。
「オフィス全体の中で誰がどこに座ってもいい働き方」であるフリーアドレスとは、「チーム(部署・部門)ごとにエリアが限定されている」という点で大きな違いがあります。
また固定席の場合は、個人のデスク・ワゴン・電話機などがありますが、グループアドレスはこれらの設備を「共有」します。
そのためフリーアドレスと同様に、適切な運用ルールを作り、浸透させることが必要です。
固定席・フリーアドレスとの違い【比較表】
| スタイル | 特徴 |
| グループアドレス | ・部署・部門ごとに決まったエリアの中で、自由に座る席を選ぶことができる ・デスクや電話などは共有 ・運用ルールが重要 |
| フリーアドレス | ・オフィス全体で、自由に座る席を選ぶことができる ・デスクや電話などは共有 ・運用ルールが重要 |
| 固定席 | ・座る席が決まっている ・個人にデスクや電話などが割り当てられている ・運用ルールは重要ではない |
グループアドレスは「中途半端」ではなく部署内の結束を強めるための合理的な選択
フリーアドレスと比較して、「グループアドレスは中途半端で効果がないのでは?」と思われることがありますが、そんなことはありません。
グループアドレスは、チーム内での連携を重要視する企業に適しています。
チームを超えた交流よりもまず、部署内・部門内の連携や結束力を強化したいケースです。
固定席でも連携は取れますが、前の席の人・隣の席の人が毎日同じなので、コミュニケーションを取る人が固定化しがちです。
グループアドレスでは、日々違うチームメンバーと隣り合うことができ、チームビルディングに役立ちます。
グループアドレスが向いている企業は?導入を判断する3つの基準

- 完全フリーアドレス移行へのステップとしての位置づけ
- 席数の適正化と在席率のバランス
- 所在確認のしやすさと柔軟性のバランス
上記は、グループアドレスが向いているかどうかを判断するための、3つの基準です。
1.完全フリーアドレス移行へのステップとしての位置づけ
グループアドレスは、ゆくゆくはフリーアドレスにするためのステップとして、導入することがあります。
例えば、「デスクを綺麗にして共有する」というのはフリーアドレスの1つの成立条件です。
これをグループアドレスで練習する過程で、自社に本当にフリーアドレスが向いているかどうかを確認することができます。
また、いきなりオフィス全体をフリーアドレスにすることに抵抗がある場合でも、「部署内・部門内」という限られた範囲の実施では、抵抗感を減らすことができます。
フリーアドレスを想定したオフィスであれば、グループアドレスにも対応できるでしょう。
2.席数の適正化と在席率のバランス
固定席は、従業員全員分の席数が必要です。
一方、グループアドレス・フリーアドレスは、全員の席は必要ありません。
全員の席が必要なら固定席を、テレワーク・外出が多く、席数を減らしてスペースを有効活用したいならグループアドレス・フリーアドレスを検討するとよいでしょう。
3.所在確認のしやすさと柔軟性のバランス
他の部門の人との交流や、個人の自律的な選択を最優先するなら、ABW(Activity Based Working)を意識したフリーアドレスの導入がオススメです。
一方、交流を大きく開放することは難しいけれども、チームの運用効率・結束力を高めたいのであれば、グループアドレスの導入がオススメです。
従業員の働き方の自由度や、他部門との交流などオフィス内で達成したい目的に合わせて選択するとよいです。
グループアドレス導入前に整理すべきメリット・デメリット

グループアドレスを導入する前に、グループアドレスのメリット・デメリットを整理しておきましょう。
グループアドレスのメリット:チーム内連携の強化とペーパーレス化の定着
先にも述べたように、グループアドレスではチーム内(部署・部門)でのコミュニケーションが活性化しやすく、チームの結束力が高まることが大きなメリットです。
また、グループアドレスの運用に伴い、ペーパーレス化・IT化が促進される点も、メリットとして挙げられます。
グループアドレスのデメリット:他部門との交流は固定席と大きく変わらない
グループアドレスは、あくまでも「チーム内での自由席」となるため、フリーアドレスのように、他のチームメンバーとの偶発的な関わり・交流が増えることはありません。
他チームとの連携という点においては、固定席とあまり変わらないことが実情です。
チームの垣根を越えた、開放的な交流を良しとする企業にとっては、上記はデメリットとなるでしょう。
グループアドレスの失敗原因は運用の形骸化!座席の固定化を防ぐ運用のポイント

グループアドレスを成功させるためには、フリーアドレスでもありがちな「座席の固定化」を防ぐ運用をすることがポイントです。
グループアドレスが失敗する主な原因
グループが小規模であるほど、座席が固定化しやすい(グループアドレスがうまくいかない)傾向があります。
「これでは固定席と変わらない」というのが、よくあるグループアドレスの失敗意見です。
グループアドレスに限らず、新しいシステムは導入の目的と手段が合っていないと、失敗します。
例えば、「他チームとの交流」を求めているのにグループアドレスにしてしまうと、期待した効果は得られません。
また、「固定席の不便さを解消するメリット」を従業員が感じられないと、「固定席のままでよかったのに……」という不満に繋がります。
【運用ルール1】目的の周知と座席選択を促す仕掛け
「何のためにグループアドレスを導入するのか?」という目的を明確にし、従業員に周知することが最も重要です。
特に少人数のチーム(~5名)の場合、運用が疎かになると「結局いつも同じ席に座っている」という状況になりがちです。
よって、「集中ブースもグループアドレスの1席とする」など、運用ルールに工夫を加えるほか、「今日は〇〇さんと連携したいから隣に座ろう」といった、能動的な理由で席を選ぶ意識付けが必要です。
ランダムに席が振り分けられるツール(くじ引き・アプリ)もあるにはありますが、「強制」するよりも、業務の目的に合わせて「自分で」席を選ぶ文化を作ることが理想です。
【運用ルール2】クリアデスクと個人ロッカー活用の徹底
グループアドレス・フリーアドレスでは、クリアデスク(退社時・移動時にはデスクの上を何もない状態にすること)を徹底することが必要で、場合によっては「練習期間」が必要です。
そして、固定席にあった個人のデスクワゴンがなくなる代わりに、個人のロッカーを準備することが必須です。
共有ワゴンを置くケースもありますが、私物を置くためには使用しません。
「使った後はデスクを空っぽにする」習慣を定着させます。
【運用ルール3】電話やネットワーク環境などインフラの再構築
グループアドレスでは、電話の共有化・スマホ化や、共有モニターの配置設定などが、重要となります。
LAN環境(Wi-Fi化・配線整理)も整えなくてはいけません。
ここまで解説してきたルールは、目的に立ち返ったうえで、定期的に振り返りましょう。
「結局のところ席が固定化していないか?」「チーム内でのコミュニケーションは活性化しているのか?」など検証し、運用ルールを調整していく必要があります。
グループアドレスのレイアウトのポイント:機能性を維持しつつおしゃれな空間にするコツ

以下では、グループアドレスという条件下で、オフィスの機能性を維持しつつ、おしゃれな空間にするためのコツを解説します。
島型デスクを活かしながら、植栽や動線でデザイン性を高める
グループアドレスのデスクレイアウトは、従来からある「島型対向式デスク」がベースになることが多いです。
エリアの範囲は、課単位・部単位・フロア単位など、企業規模によって様々です。
「どの範囲でのコミュニケーションや結束力を高めたいか?」を基準に、区切る範囲を決定しましょう。
島型デスクがずらっと並ぶレイアウトになる場合は、無機質な空間に見えないように、グリーン(植物)を配置したり、動線にゆとりを持たせたりすることで、印象が変わります。
レイアウトと内装で、執務エリアと共用エリアのメリハリをつける
従業員の人数が多いと、島デスク以外のデスクレイアウトが成り立ちやすくなり、「通常執務エリア」「集中ブースエリア」「ファミレス席エリア」など、様々なタイプを用意できます。異なるタイプのデスクを混ぜることも可能です。
グループアドレスにより、席数を適正化(削減)することで、空いたスペースをリフレッシュエリアなどに活用でき、結果として「ゆとりのあるおしゃれな空間」を作りやすくなります。
グループアドレス導入によりワークスタイルの変革に成功したオフィス事例
以下では、グループアドレス導入によって、ワークスタイルの変革に成功したオフィス事例を2つ紹介します。
事例1:富士急行株式会社 様(段階的な導入でスムーズな移行を実現)

富士急行株式会社 様は、元々「完全固定席」でしたが、フロア改修を機にグループアドレスを導入しました。
経理部・営業部・事業部など部門ごとにエリアを分け、エリア内であれば自由に席を選ぶことができます。

いきなり「完全フリーアドレス」にするのではなく、段階的なステップとしてグループアドレスを採用し成功した、好事例です。
《事例を詳しく見る》
→ 富士山麓と富士急行線の魅力を詰め込んだオフィス
事例2:株式会社オリバー 東京・西葛西オフィス(ゾーン制による所在の可視化)

オリバーのオフィスでも、グループアドレスを実施しています。
ワンフロア(100坪)の中で、ホテルチームのゾーン・医療福祉チームのゾーンというように、大まかにゾーンを決め、そのゾーン内では自由に席を選べるようになっています。

チームへのアクセス(所在確認)のしやすさと、席選択の自由度を両立させています。
《事例を詳しく見る》
→ オリバー 東京・西葛西オフィス
グループアドレス導入を支援するオリバーのプロジェクトマネジメント

オリバーは、単に良い家具・什器を提案するだけではなく、「運用面のコンサルティング」ができることが強みです。
固定席からグループアドレスに移行する際のルール策定、出社率や将来の増員を見越した適正な席数のシミュレーションなど、グループアドレス導入に失敗しないための仕組みづくりから親身にご相談に乗ります。
そして、グループアドレス化の目的を見据えたうえで、機能性・デザイン性を両立させたレイアウト・デザインを提案します。
まとめ
以上、オフィス移転・改修を手がける株式会社オリバーの視点から、
- グループアドレスとは?定義や固定席・フリーアドレスとの違い
- グループアドレスが向いている企業は?導入を判断する3つの基準
- グループアドレス導入前に整理すべきメリット・デメリット
- グループアドレスの失敗原因は運用の形骸化。座席の固定化を防ぐ運用のポイント
- グループアドレスのレイアウトのポイント:機能性を維持しつつ洗練された空間にするコツ
- グループアドレス導入によりワークスタイルの変革に成功したオフィス事例
- グループアドレス導入を支援するオリバーのプロジェクトマネジメント
について、解説しました。
グループアドレスは、「チームごとに決められたエリアの中で」自由に座る席を選ぶことができる働き方で、チームの結束力を高めることに適しています。
また、グループアドレスはフリーアドレスと比較して、中途半端な施策では決してなく、いずれフリーアドレスにするための段階的なステップとして十分に機能します。
「結局固定席になる」という状況を避けるため、定期的にルールの見直しを行いましょう。