【事例あり】活用されるおしゃれなオフィス食堂のポイントは?期待できる効果も紹介

近年、「社員が集まる、おしゃれなオフィス食堂を作りたい」という、企業からの需要は高まっています。
そこには、「従業員満足度(エンゲージメント)を上げたい」「採用を強化したい」「会社を外部にアピールしたい」「コミュニケーションを活性化させたい」など、さまざまな狙いがあるようです。
オフィスの食堂がおしゃれであることは、オフィスが活用されるための大きな要素ですが、おしゃれであること以外にもおさえておくべき工夫が、いくつかあります。
既存の課題は、「ランチタイム以外に使われることが少ない」「無機質で居心地が悪い」といったことが多いです。
今回の記事では、実例とともに、おしゃれで活用されるオフィス食堂を作るためのポイントについて、オフィス移転・改装を手がける株式会社オリバーが解説します。
具体的には、
について、詳しく解説します。
おしゃれなオフィス食堂の事例3選
最初に、オリバーが手がけたおしゃれなオフィス食堂の事例をご紹介します。
- 西武鉄道株式会社 様 本社食堂
- パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社 様 社員食堂
- 大成建設株式会社 様 食堂
1.西武鉄道株式会社 様 本社食堂

西武グループの基幹事業である都市交通・沿線事業を行う、西武鉄道株式会社 様では、社員のエンゲージメント向上の一環として7階食堂の改修工事を行いました。

今回の記事のテーマでもあるのですが、食堂としての機能だけでなく、執務用途としても利用ができる、社員の皆さまが自然と集まる空間を目指しました。

食欲を促進させるといわれるカラーを食堂内に散りばめて、社員の皆さまの食事による健康促進を図っています。

そして、イミテーショングリーンや自然音が流れる音響システムを取り入れ、自然と心が落ち着き、食事を楽しめる空間に仕上げました。
<事例を詳しく見る>
→ 社員の健康とエンゲージメントの向上を目指した食堂|西武鉄道株式会社 様 本社食堂
2.パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社 様 社員食堂

パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社 様は、パナソニックグループの家電やデジタルAVの知見を活かし「人」や「くらし」に寄り添って、新たなモビリティ体験を創出している企業さまです。
今回、社内で会議室不足や出張者の席不足に加え、休憩スペースを求める声があり、オフィス食堂を改装しました。

ダイニングエリア・カフェエリア・コミュニケーションエリア・ワークエリアの4つのエリアに分けて、用途によって席を選んでいただける食堂です。

また、「ココロ動かすフォースプレイス」をコンセプトに、食堂だけではない、さまざまな人が集まる「広場」を目指しました。
内装は、コンクリート調の柱や石畳風のマテリアルと、ポイントで配置したグリーンによって、「つい立ち寄りたくなる街の広場」のような空間を演出しています。
インテリアの1つであるラウンドベンチは、体が自然に向き合うR形状です。
真っ直ぐな対面ではなく斜めに向き合うことで、和やかなコミュニケーションを促進します。

また、食堂内では季節イベントを演出し、「社員が集まりたくなる食堂」を目指しています。
<詳しく事例を見る>
→ 食事や執務、ミーティングなどさまざまな人が集まる空間|パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社 様 社員食堂
3.大成建設株式会社 様 食堂

全国に拠点を構える大成建設株式会社 様では、「すべての従業員のためのコモンスペース(共有空間)」を目指し、従業員同士を自然に繋ぐ新たな場の創造を目的として、オフィス食堂を改装されました。

広大な1フロアの食堂を、グループ・ソロ・イベント・カウンター・ラウンジ・ミーティング・VIPエリアに分け、それぞれの空間で快適な居心地を追求されています。

特にVIPエリアは、ダークトーンでまとめたラグジュアリー空間に仕上げ、別エリアとの差別化を図られています。

<事例を詳しく見る>
→ 食堂の枠を超えた、自由に使える快適空間|大成建設株式会社 様 食堂
企業が自社オフィスのおしゃれな食堂に求める4つの効果

- アイデンティティの醸成:「私たちの会社と言えばこの場所」
- 採用力強化:求職者が働いてみたいオフィスにする
- スペースの有効活用:ランチ以外の利用の促進
- 社員コミュニケーションの活性化:業務で関わりを作れない社員同士でも気軽に
オフィスのおしゃれな食堂には、上記のような効果が求められています。
1.アイデンティティの醸成:「私たちの会社と言えばこの場所」
オフィス食堂のデザインについては、「従業員がどんどん集まるおしゃれ(漠然とした)な食堂がいい」と要望されることが多いです。
レストランやショッピングモールのフードコートのように、行けば気分転換ができるようなデザインが理想なのでしょう。
ここで忘れてはいけないのは、「他社と一緒ではいけない」ということです。
創意工夫をして、「自分たちの会社らしさ」を醸成しましょう。
企業理念・経営理念、モットー、推進している働き方など、「会社の内面」を具現化できれば、「うちの会社といえばここ(食堂)だよね」という、唯一無二の食堂になります。
2.採用力強化:求職者が働いてみたいオフィスにする
現状、多くの企業で採用に苦戦しています。
そこで、食堂をおしゃれで便利にすることによって、「この企業で働きたい!」と求職者に思ってもらうことが可能になります。
3.スペースの有効活用:ランチ以外の利用の促進
既存のオフィスの食堂では、ランチ以外の使い方ができないことが大きな課題になっているケースがあります。
「お昼休みの間はとても混みあい、それ以外の時間は閑散としている」というのが、よくある例です。
食堂はオフィスの中で大きなスペースを割き、予算もかける部分なので、上記のような状況は非常にもったいないです。
そのため、新しく食堂を作る場合も、既存の食堂をリニューアルする場合も、ランチ以外の利用を促進することが重要です。
4.社員コミュニケーションの活性化:業務で関わりを作れない社員同士でも気軽に
多くの従業員がいる企業では、関わりがあるのは部署内の人だけで、他の部署の人のことは全く知らないということが、よくあります。
同じ会社で働いているのに、顔も名前もわからない人が多いというのは、どことなく寂しいことです。
おしゃれなオフィス食堂を有効活用するための7つのアイデア

食堂はおしゃれであることに加え、“有効活用されること”が極めて重要です。
- ランチ以外でも活用できる空間にする
- レイアウトと動線設計を工夫する
- さまざまな用途に多様な席で対応する
- おしゃれを意識した雰囲気づくりをする:内装・グリーン・季節感
- 家具・設備の工夫でおしゃれさと快適性を向上させる
- 運営・管理のしやすさを意識する
- 家具メーカー・設計担当を連携させる
上記は、オフィス食堂を有効活用するための7つのアイデアです。
1.ランチ以外でも活用できる空間にする
まず前提としては、
- 短時間で食事を済ませたい人
- 同僚・上司・部下とゆっくり食事をしたい人
- お弁当を持ってくる人
など、さまざまな人をイメージして、「どの席でも食事ができる」「どの席にもお盆が置ける」というような、基本的な使い勝手の良さを担保することが必要です。
そのうえで、ランチ以外でも活用できる空間にすることを目指してみましょう。
社内交流・イベントのための空間
オフィス食堂は広いため、社内交流だけでなく、イベント会場としても活用することが可能です。
キャスター付きのテーブルを採用すれば、イベントのためにスペースを作りやすいですが、全てにおいてキャスター付きのテーブルだと、メリハリのない魅力に欠けた空間になってしまいます。
おしゃれさは居心地の良さを促進し、食堂がより活用される空間になります。
たとえばファミレス席などをうまく取り入れると、食堂の空間全体にメリハリを付けることができます。
<参考コラム>
→ ファミレス席を導入したオフィス事例5選!導入する際のポイントやメリット・デメリットも紹介
個人作業・リモート対応の空間
オフィス食堂を個人作業やリモート対応に適した空間にすることも、食堂を有効活用する1つの手段です。
例えば、各テーブルに大きめのモニターを付属すると、資料を参照しながらのWeb会議が行いやすくなります。
PCやモニター、スマホの充電器などを繋げるための電源タップも、十分確保するとよいです。
2.レイアウトと動線設計を工夫する
前提としては、「席数をどれだけ用意できるか?」が大切です。
多くの給食会社では、食堂の利用者数が多いほどサービスを良くできる(メニューを豊富にできるなど)ため、席を作ること・回転率を上げること・空間を作り込むこと、いずれも意識しなくてはいけません。
そして、よく利用されるオフィス食堂にするためには、食堂のレイアウトおよび動線設計が、極めて重要となります。
人の流れを意識する
オフィス食堂を実際に利用する人の流れを、できるだけ細かくイメージしてみましょう。
- メニューを決める
- 「和食」「洋食」などそれぞれの窓口にトレーを持って並ぶ
- 食事を出してもらって受け取る
- お水やカトラリーを持つ
- 調味料をかける
- レジで会計する
- 空いている席を見つける
- 食事する
- 食器を返す
上記の流れがスムーズに進むように、厨房機器の位置や動線計画を決める必要があります。
空席の見つけやすさの工夫
オフィス食堂の席数が豊富にあっても、席が空いていることに気付いてもらえなければ、意味がありません。
そのため、食堂に入ったらすぐに全体が見渡せるレイアウトが理想的です。
また、空席を探してトレーを持ったまま歩き回らなくても済むように、空席をモニターに映し出すシステムを導入することも、1つの方法です。
3.さまざまな用途に多様な席で対応する

さまざまな食事の取り方・用途に対応できるように、できるだけ多様な席を用意するとよいでしょう。
1人・短時間で済ませる席
従業員の中には、「1人で手早く食事を済ませたい」と考える人も多くいます。
そうした人のためには、1人掛けの席・カウンター席を用意すると、オフィス食堂が使われやすくなります。
コミュニケーションがしっかり取れる席
「同僚・上司・部下とコミュニケーションを取りながら、楽しく食事したい」と考える人もいます。
そうした人のためには、3~4人掛けの席・ファミレス席を用意すると、オフィス食堂が使われやすくなります。
4.おしゃれを意識した雰囲気づくりをする:内装・グリーン・季節感
先にも述べたように、「全てキャスター付きにして、動かせるようにすると便利!」というのは、確かにその通りなのですが、おしゃれなオフィス食堂にはなりません。
会議室で食事をしているような、味気のない空間になってしまいます。
「実用性だけ突き詰めるのはよくない」ということです。
おしゃれで活用されるオフィス食堂にするためには、内装・グリーン・季節感など、さまざまな工夫が必要になります。
インテリア・内装材の選択
床が執務室の続きのようなタイルカーペットであったり、壁が単純な白であったりすると、画一的でつまらない食堂になってしまいがちです。
利用者がうける空間の印象を変えるため、執務室など他のスペースとは変化を付けたインテリアや、内装材を選択することが大切です。
グリーンや装飾で自然・季節感を演出
給食会社との協力が必要ですが、季節限定のメニューがあると、従業員が食堂に飽きずに通いやすくなります。
また、さらに季節を感じてもらうためには、デジタルサイネージを使うことも有効です(季節を感じる静画・動画を映す)。
余力があれば、七夕・ハロウィン・クリスマスなどの、飾り付けも行うとよいでしょう。
そして、従業員に食堂でリラックスしてもらうためには、グリーン(観葉植物など)の配置は必須です。
オリバーがオフィス食堂をレイアウトする際も、必ずと言っていいほど、グリーンを配置しています。
音響・照明でシーンを切り替える
食堂の照明も、執務室など他の空間とは、変化を付けるとよいです。
基本的には、(執務室よりも)赤みのある落ち着いた明るさに調整すると、リラックスしやすくなります。
音響については、高音質なスピーカーで自然音を流すと、リラックスして食事を取りやすいです。
また、おしゃれなカフェ・バーのようにジャズを流し、照明を暗くしてみるのもいいでしょう。
ストリートピアノなど、ユニークでコミュニケーションのきっかけになるようなアイテムがあってもいいでしょう。
5.家具・設備の工夫でおしゃれさと快適性を向上させる

おしゃれなオフィス食堂の家具は、単体でおしゃれな物を選べばいいのではなく、“叶えたい空間の意図を捉えて”選ぶ必要があります。
つまりファッションと同じで、「コーディネートが重要」だということです。
家具選びのポイント
家具においては、例えば椅子の張地を1つずつ丁寧に選択することで初めて、空間にフィットする物になります。
当社オリバーでも、家具製品の張地の選択肢を非常に数多く用意しており、空間へのフィット感を大切にしています。
「アウトドアな雰囲気ならアウトドアな家具を選択する」「カフェのような雰囲気ならカフェっぽい家具を選択する」といった、基本的なことも忘れてはいけません。
機能面については、積み重ね(スタッキング)など省スペースにできる機能があると、レイアウト変更の際に使い勝手が良いです。
設備の整備
先ほども述べたように、AIを活用して食堂の空席を表示するシステムがあれば、食堂を利用しやすくなります。
その他に、Wi-Fiやコンセントなど、PCやスマホを使うために必要な設備は、しっかり揃えておくとよいでしょう。
6.運営・管理のしやすさを意識する
おしゃれなオフィス食堂を維持するためには、運営面を意識することも欠かせません。
先にも少し説明しましたが、給食会社にとって重要なのは「何食、食事が出るのか?」ということなので、食堂の利用者数を増やす工夫・席の回転率を上げる工夫が必要となります。
また、管理(メンテナンス)がしやすい食堂にすることも、大切です。
テーブル・カウンターに拭き取りがしやすい素材を用いたり、床は食べ物・飲み物をこぼしても掃除しやすいように塩ビタイルを選んだりして、綺麗・清潔な状態を簡単に保てるようにします。
7.家具メーカー・設計担当を連携させる

おしゃれなオフィス食堂を作るためには、家具メーカーおよび設計担当との、しっかりした連携が必要不可欠です。
おしゃれなオフィスの食堂のイメージは「レストラン」「カフェ」など、オフィスからは離れていることが多いため、そうした場所でも実績がある設計パートナーに依頼すると、希望がスムーズに伝わりやすいでしょう。
オリバーは、オフィス設計部門だけではなく、宿泊施設・商業施設の設計を手がける部門が社内にあります。
そのためレストラン・カフェでの実績も豊富で、それをオフィス食堂に活かすことができます。
まとめ
以上、オフィス移転・改修を手がける株式会社オリバーの視点から、
- おしゃれなオフィス食堂の事例3選
- 企業が自社オフィスのおしゃれな食堂に求める4つの効果
- おしゃれなオフィス食堂を有効活用するための7つのアイデア
について、解説しました。
おしゃれなオフィスの食堂を作るためには、
- 執務室とは違いを出すこと
- 空間にメリハリをつけること
- 印象的なモチーフを配置すること
- 照明や音響にこだわること
などさまざまなポイントがありますが、これらをただクリアすればよいのではなく、「いかに活用される食堂にするか?」ということが大切です。
多様な働き方にマッチした、「おしゃれで使いやすく居心地の良いオフィス食堂」づくりを目指しましょう。