インナーブランディングとは?メリットやデメリット、実施タイミングや施策例についてご紹介
「インナーブランディング」とは、会社の理念やビジョン、価値観を社内全体に浸透させる一連の活動のことです。
「インターナルブランディング」や「インターナルマーケティング」とも呼ばれます。
例えば、
- 社内報や社内ポータルサイトでの情報発信
- 創立記念パーティーや表彰式、研修旅行などの実施
- クレド(※1)の作成・配布
- 対話や共同作業のワークショップの実施
- オフィスの移転・改装
などが、インナーブランディングの取り組みとして挙げられます。
※1 クレドとは?
クレドとは、ラテン語で「信条」や「約束」を表す言葉です。
企業の価値観や理念を小さなカードなどに記載し、従業員に配布する方法として知られています。
インナーブランディングによって、社員が企業理念などを深く理解することで、社員のなかで自社のブランド価値が高まります。
そして、自社の商品・サービスに対する愛着が湧くのです。
自社の価値の高さや自社の商品・サービスの良さが実感できると、その意義や目標に共感することで、社員の帰属意識が高まり、業務にも力が入るようになります。
会社の掲げる目標に対しても、自発的に「達成しよう」と努力するため、結果として会社の利益に繋がります。
こうしたことから、インナーブランディングはとても意義のあることだと言えるでしょう。
今回のコラムでは、
- インナーブランディングに興味がある
- 社員定着率が下がってきており、対策したい
- インナーブランディングがどういったものなのかあまりわかっていないので、幅広く知りたい
- 施策を何か実施しなくてはと思っているが、失敗はしたくない
- 自社オフィスの移転・改装を計画中である(2~3年後)
上記のような人にとって役立つ、インナーブランディングに関する様々な情報をお届けします。
- インナーブランディングに取り組む目的
- インナーブランディングに取り組むメリットとデメリット
- インナーブランディングを進める際に注意すべきポイント
- インナーブランディングに取り組む際に適したタイミング
- インナーブランディングの効果を確かめる方法
- オフィスの移転や改装はインナーブランディングの施策に適している
- オフィスの移転や改装の際にインナーブランディングを意識した事例
- インナーブランディングのために押さえておきたいオフィスの移転や改装をする際の6つのポイント
について知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
インナーブランディングに取り組む目的
インナーブランディングは、社員のエンゲージメント(※2)や満足度、個人のモチベーションを高めるため、そして自社への愛着や帰属意識を生むために、行うとよい取り組みです。
※2 エンゲージメントとは?
ビジネスの場面で「エンゲージメント」とは、社員の自社に対する愛着・思い入れなどの意味で使用されます。
エンゲージメントの向上は業績の向上にも繋がるため、経営における重要課題の1つとされています。
仮に、リモートワークの影響で家でばかり働いているとしても、インナーブランディングにより帰属意識が高まっていれば、孤独感をおぼえることは少なく、社内の人との繋がりを感じられるようになります。
また、インナーブランディングにより社内での理解が広まった内容は、営業や採用活動の際に、社外の人に伝える(=アウターブランディング)こともできます。
インナーブランディングに取り組むメリット・デメリット
インナーブランディングに取り組むことには、メリットとデメリットが存在します。
以下で、解説していきましょう。
インナーブランディングに取り組むメリット
インナーブランディングの取り組みが各社員に伝われば、
- やる気の向上
- 愛着の向上
- 帰属意識の向上
上記のようなメリットが生まれます。
そしてやる気や愛着、帰属意識が高まった社員は、離職する可能性が低くなるので、人材を確保できるという面でも1つの大きなメリットです。
インナーブランディングに取り組むデメリット
インナーブランディングを進める際、発生が懸念されるデメリットについても把握しておくほうがよいでしょう。
1つは、社員にとって「会社が合うのか?合わないのか?」が明確になってくることが挙げられます。
「合う!」という場合もありますが、逆に、「この会社にいる人間ではないのかも」「自分のやりたいこととは離れている」と、会社を辞めていくこともありえます。
さらに、インナーブランディングの進め方によっては、必要以上に社員像が固まる(=入ってくる人の人物像も絞られてくる)ことにも、注意しなくてはいけません。
社内の多様性を認めたい場合は、社員像を1つの型に当てはめないという方針で、インナーブランディングを進めていくべきでしょう。
インナーブランディングを進める際に注意すべきポイント
インナーブランディングを進める際に注意すべきポイントとして挙げられるのは、効果検証が難しいことです。
特に、社員のやる気や帰属意識など、気持ちに関する部分は数字にしにくいです。
後述するアンケートによって、やる気や帰属意識の「見える化」はできますが、客観的な数字にするというのはやはり難しいでしょう。
「インナーブランディングが成功したか?」を見極めることも難しく、例えば生産性などは、インナーブランディングではない外的要因によって、向上することもあります。
効果の見えにくさは課題ですが、効果が見えにくいからといって、インナーブランディングを実施する価値がないわけではありません。
一方、社員の満足度向上や、自社商品への愛着、誇りといった間接的ながら大切な要素を高める手段としては有効です。
インナーブランディングは、会社がどんなことをやろうとしていて、社員はそれをどれくらい理解しているのかを測るいい機会になります。
実際にインナーブランディングを行うかどうかは別にして、インナーブランディングについて1度考えてみることは、とても大切です。
インナーブランディングの取り組みに適したタイミングは?
インナーブランディングは非常に広義的な言葉であり、何をするかは企業によって異なるので、適したタイミングというのは一概に言えません。
ただ、よくあるのは周年のタイミングや、企業の代表者が代わったタイミング、中長期経営計画を発表するタイミングです。
なお、インナーブランディングを継続的に高め続けるためには、様々な工夫が必要です。
日々のコミュニケーションによって、社員にインナーブランディングの理解が広まっているのかを確かめる必要がありますし、社員からインナーブランディングに関する意見をもらう仕組みも必要です。
それぞれの社員が、インナーブランディングに関してどのように感じているのかを確かめることは、インナーブランディングの取り組みに対するやる気などに影響してきます。
1度取り組んだインナーブランディングは、放置してはいけません。
「1度伝えれば終わり」ではなく、2年目も3年目も、必要に応じて内容を更新して、継続的に伝え続けることが重要だと考えます。
インナーブランディングの効果を確かめる4つの方法
先述のように、インナーブランディングの効果検証は難しいと言えますが、効果を確かめる方法には、アンケートを中心として様々な方法があります。
例えば、オフィス改装によるインナーブランディングを実施したなら、「改装後すぐ」と「改装後しばらく」の複数回に分けて、アンケートなどで効果検証するのがよいでしょう。
- 社員アンケート
- グループインタビュー
- eNPS
- 組織サーベイ
いずれの方法においても、「企業理念をどれくらい理解しているのか」や、「各部署の目指すものが企業理念と合っているのか」が、要確認ポイントになります。
また、「社員がどのくらい会社に愛着を持ってくれているのか」や「一人ひとりのモチベーションが維持できているか」を確かめることも大切です。
1.社員アンケート
インナーブランディングのもっとも代表的な効果測定方法が、社員アンケートです。
社員アンケートは、見えにくい社員の意識や労働環境への満足度などを、定量的に測ることができます。
外部サービスやコンサルタントに依頼せず、自社だけで取り組みやすいことがメリットです。
社員アンケートを作成するときは、以下のポイントを押さえるとよいでしょう。
社員の負担にならないようにすることがベースです。
- 質問項目は5~10個に抑える
- 5分以内で取り組める内容にする
- 社員が理解しやすい文言を使用する
- 記述式ではなく、選択式の回答方法にする
2.グループインタビュー
グループインタビューは、社員から本音を引き出したり、議論をしてもらうことによって、会社に対する定性的な評価を得る方法です。
5〜6名のグループを作って自由にディスカッションしてもらうことで、通常の業務内では聞けない意見や考えを幅広く抽出することができます。
ひいては、インナーブランディングの効果の確認や、改善点の発見などができるでしょう。
グループインタビューを行うときに重要なポイントは、以下のとおりです。
- 特定のディスカッションテーマを用意する
- 目的・フィードバックの道筋などを設計しておく
- 新入社員・中堅社員・ベテラン層など階層別でグループを組む
形式的なヒアリングで終わってしまうことや、意見や本音を言いにくい状況を作ってしまうことを避けるため、社内で独自に行うのではなく、外部のコンサルタントやリサーチ会社に介入してもらうことを推奨します。
3.eNPS
eNPS(Employee Net Promoter Score)とは、社員の自社に対する愛着や満足度、働きがいなどを数値化した指標のことです。
「あなたは自分の働いている会社への入社を、友人や家族にどの程度勧めますか」という視点で、自社を評価してもらいます。
eNPSが高い社員ほど、自社のブランドに愛着を感じており、クライアントに対して熱心に、よりよい提案をしようとする傾向があります。
eNPSの進め方は、以下のとおりです。
0~10の点数評価のアンケートを実施する
アンケート結果の内容により、社員を批判者・中立者・推奨者の3つにカテゴライズする
推奨者の割合から批判者の割合を引いた数値を出す
【例】推奨者50%、中立者30%、批判者20%だった場合
50%(推奨者)- 20%(批判者)=30(eNPS)
上記の手順で導き出したeNPSの値が「プラス」になっていれば、満足している社員のほうが多い=インナーブランディングは好調というように判断できます。
4.組織サーベイ
組織サーベイとは、企業が組織の現状を可視化するために実施する調査のことを指します。
先述の社員アンケートと似ていますが、組織サーベイは「あるべき姿」と「現状」とのギャップを数値化していくことが特徴です。
- 企業理念の浸透度
- 組織の健全性
- 社員のモチベーション
- 社員エンゲージメント
- 業務満足度
- 組織の課題
上記のような項目を、できれば調査対象を細かく分けて(「入社して○年以内の社員」など)、回答してもらう仕組みを作りましょう。
なお、組織サーベイには以下のような種類があります。
- 従業員サーベイ:職場環境・人間関係・エンゲージメントへの満足度を調査する
- モラールサーベイ:社員の意欲や士気を調査する
- パルスサーベイ:組織内の変化や現状の問題点を迅速に調査する
- エンゲージメントサーベイ:自社や自社商品・サービスに対する愛着心を調査する
オフィスの移転や改装はインナーブランディングの施策に適している
オフィスの移転や改装も、インナーブランディングの一環です。
会社側の、
- 帰属意識を高めたい
- 採用を強くしたい
といった目的に対して、オフィス移転・改装する場合は、
- 社員にとってこのような場所にしましょう
- 会社がこのように発展するために、このような場所にしましょう
という提案がされます。
オフィス移転・改装のコンセプトは、プロジェクトメンバーだけでなく、社員全体に認識してもらって、
- ここ(会社)はこのような場所なんだ
- うちの会社はこれからこのようになっていくんだ
と思ってもらうまでが、インナーブランディングの一連の流れとなります。
オフィスの移転・改装の際にインナーブランディングを意識した事例
以下では、オフィスの移転や改装の際に、インナーブランディングを意識した事例を3つご紹介します。
1.株式会社メニコン 様 メニコンシアターAoiビル
株式会社メニコン 様 メニコンシアターAoiビルでは、経営理念である「創造」・「独創」・「挑戦」を、旅をするようにオフィス内を移動できるトラベル型ウェルネスオフィスというインテリアで表現しました。
WELL認証レベル(※3)とABW(※4)の考え方を意識したレイアウトにし、社員がどこにいても快適に働くことができる空間を目指しました。
※3 WELL認証とは?
WELL認証(WELL Building Standard®)とは、オフィス空間で過ごす人のウェルネスを重視し、スペースの効果的な使い方や生産性を向上させる仕組みなどを評価する制度です。
※4 ABWとは?
ABW(Activity Based Working)とは、その時々の仕事の内容に合わせて、働く場所を自由に選択する働き方を指します。
来訪者を迎える5F・エントランス空間は、オフィス全体のイメージが伝わるデザインでおもてなしの空間になっています。
7F・交流型執務フロアは、ちょっとした打ち合わせからセミナーまで、その時の用途や人数によって自由に姿を変えます。
どこでも仕事ができるフリーアドレスオフィスのため、それぞれの場の用途に合わせた什器を設計しつつ、エリアに合わせて家具をご提案しました。
集中エリアでは、完全プライベートの個室ブースを置いたクローズエリアの他にもセミクローズ、オープンエリアに分け、気分や業務内容に合わせて場所をお選びいただけます。
<詳しくはコチラ>
→ 旅をするように、自ら必要な場所を選び、主体的に働くことができるオフィス
2.株式会社AIRDO 様
株式会社AIRDO 様では、北海道に根差す「AIRDO」を再認識させるグラフィックアートを採用しました。
パーソナルロッカーを囲むウォールに、北海道に住む動物たちのグラフィックをあしらいました。
北海道にルーツを持つAIRDO様らしさを引き出しながら、殺風景になりがちなオフィスに温かみをプラスしています。
窓際のミーティングスペースや集中スペースは、利用人数に合わせて複数タイプを設置しています。
家具を置くだけでなく、額縁のようなボックスとして作りこむことで、オフィス全体のデザイン性を高めながら過ごしやすい空間を提供しています。
<詳しくはコチラ>
→ 能力を最大限発揮するオフィスへ
3.キャロウェイゴルフ株式会社 様
キャロウェイゴルフ株式会社 様は、ロッカー表面の下部に貼られた芝生のようなグラフィックシートや緑色の床材など、ゴルフ場を想起させるような表層グラフィックが特徴です。
ゾーニングで導線を整理し、グループ席の周辺に自由席を設けることでコミュニケーションを誘発します。
またオープンなオフィスでのオンラインコミュニケーションも想定し、個室ブースCAP-CELLも設けています。
<詳しくはコチラ>
→ チームの垣根を超えるオープンなオフィス
インナーブランディングのために押さえておきたい、オフィスの移転や改装をする際の6つのポイント
- インナーブランディングによって何を社内に浸透させたいかを最初に決める
- 「オフィス移転や改装によって、何を叶えたいのか」を目標に設定する
- 「何のためのオフィス移転・改装なのか」は常に明確にする
- アウターブランディングと兼ねることを検討する
- オフィス改装・移転にかかる予算の目安を立てる
- 移転・改装を実施したあとに取り組むことを考える
上記は、インナーブランディングのために押さえておきたい、オフィス移転・改装をする際の6つのポイントです。
それぞれのポイントについて、以下で詳しく解説していきましょう。
1.インナーブランディングによって何を社内に浸透させたいかを最初に決める
まずは、インナーブランディングによって何を社内に浸透させたいのか、明確に決めることから始めましょう。
インナーブランディングで浸透させたいことが決まったら、例えば、社長の思い・考え方を発信するなら、その内容を伝えるため「皆が集まる機会」を準備することが必要となります。
また、きちんと上層部から各社員まで、情報が組織的に下りてくる仕組みがなくてはいけません。
事業的なインナーブランディング(会社の人材教育の方針ではないブランディング)の場合、会社の事業の発展具合によって、インナーブランディングの方針がどんどん変化していくこともあります。
その時々の方針に社員がついてこられるよう、決算のタイミングなどで経営層の考え方を示す機会の準備が必要です。
口頭だけではなく、併せて書面等でも示すとよいかもしれません。
「なぜABWなのか?」「なぜフリーアドレスなのか?」と、オフィス改装・移転の内容を知らされただけでは、社員は疑問に思います。
「今までの働き方に慣れているのに……」と反発も生まれるかもしれません。
そこで、プレゼンや資料の配布によって、
- 一人ひとりが自立した環境を作りたい
- テレワークといった働き方の変化を考えている
など、オフィス移転・改装の目的をしっかり浸透させることが必要になります。
<関連コラム>
→ オフィスづくりに役立つコンセプトとは?具体例とともに必要性、決め方を紹介
2.「オフィス移転や改装によって、何を叶えたいのか」を目標に設定する
オフィスのコンセプトは、「オフィスづくりを進めるにあたって立ち返ることができる、基本とする指針」と言い換えてもよいでしょう。
オフィスをよりよいものにするためには、例えば「ラグジュアリーな空間を作る」といったデザインテイストをコンセプトにするのではなく、
- ラグジュアリーな空間にすることによって、何を実現するのか
- 利用者にどういう気持ちになってほしいのか
などと考えることが、ポイントになります。
デザインテイストではなく、その先にある「オフィス移転や改装によって、何を叶えたいのか」を目標にし、その目標を叶えるための基本指針をコンセプトとすることが、よりよいオフィスづくりには大切です。
プロジェクトの目的(=叶えたいこと)には、例えば以下のようなものが挙げられます。
- 経営ビジョンの実現
- 企業イメージの向上
- 経営ビジョンや事業指針の社員への浸透
- 戦略的な営業拠点づくり
- IT化に対応する業務効率の向上
- 固定費の削減
- 働き方改革、ワークスタイルの見直し
- 業務内容、人員計画への対応
せっかくお金をかけてオフィスを新しくするにも関わらず、ただきれいなオフィスを作って満足、というようなプロジェクトにしてしまうのはもったいないです。
「オフィス移転や改装によって、何を叶えたいのか」までしっかり考えましょう。
3.「何のためのオフィス移転・改装なのか」は常に明確にする
企業によってばらつきがあるのですが、会社の中長期計画などから、オフィスコンセプトを追っていくことが多いです。
言葉にすると、「こういった場所にしたい」「こういった働き方にしたい」というところから、コンセプトが決まっていきます。
ですのでそもそも、上記のような中長期的目標が決まっていない会社は、インナーブランディングで伝えることがないと同義なので、社員に何かが浸透することもありません。
コンセプトが無事に決まっても、改装計画を進めるなかでズレが生じることがあり、新しいオフィス完成後、社員に伝える時につじつまが合っていない(=「最初に言っていたことと違うのでは?」と思われる)ことが、よくあります。
最初に決めたコンセプトからは大きくズレないようにして、もしくは変更があるなら社員に都度伝えていく必要があるでしょう。
- 何のために移転・改装するのか
- 何のためのオフィスの場所なのか
- どういった働き方を目指したいのか
プロジェクトの最初から最後まで、こうしたことをいつ社員に聞かれても明言できるように、しっかり押さえておくことが大事です。
オフィスができあがった時に、社員が「目指していた通りのオフィスになったんだな」と感じることができれば、インナーブランディングとしてのオフィスの移転・改装は無事に成功したと言えるでしょう。
逆に、できあがったオフィスが
- 何を示したいのかわからない
- 示しているものが、伝えられたインナーブランディングと違っている
となった場合は、社員のあいだで「なぜオフィス移転・改装なんてしたのだろう?」と、疑問に思われてしまいます。
オフィスの改装・移転は、社員にインナーブランディングのことを伝える貴重なタイミングです。
他のタイミングで伝えるよりも、社員の心に響きやすいと思われます。
その機会を無駄にしないように、「何のためのオフィス移転・改装なのか」は、いつでも明確にしておきたいところです。
4.アウターブランディングと兼ねることを検討する
インナーブランディングの一環として行うオフィスの移転・改装は、アウターブランディング(外向きのPR)と兼ねることもできます。
例えば、お客さまを招き入れることができる、ショールームの開設。
自社の社員がブランド価値を再認識する機会になるだけでなく、お客さまに会社のことを知ってもらう機会にもなります。
また、社外向けのWebサイトや発刊物は一見アウターブランディングですが、社内の人が見ることもあるので、こだわって作ればそれもインナーブランディングになります。
エントランスにお金をかける企業が多いのは、インナーブランディングとアウターブランディングの両方を意識しているからでしょう。
- 会社を変えていこう
- 新しい風を吹き込もう
- 事業を発展させていこう
という意気込みのもと行われるオフィスの移転・改装は、意外とお客さまのところまで(会社のやろうとしていることが)伝わります。
先述したように会社の周年や、社長が変わるタイミングで、オフィスの移転・改装を伴うインナーブランディング・アウターブランディングに取り組む会社が多いです。
5.オフィス移転・改装にかかる予算の目安を立てる
インナーブランディング全体にかかる費用は、やることによって異なるので、一概には言えないところがあります。
あくまでオフィスの移転・改装に関して言うならば、以下の項目を参考にしてみてください。
改装費用のランク | 費用目安 |
---|---|
低価格帯 | 30~40万円/坪 |
中価格帯 | 40~60万円/坪 |
高価格帯 | 60~80万円/坪 |
オフィスの面積は、そこを利用する従業員数に応じて設定(2坪/人~4坪/人)することが一般的です。
<詳しくはコチラ>
→ オフィスデザインと工事の費用目安は?改装や移転の実例金額も紹介
6.移転・改装を実施したあとに取り組むことを考える
「オフィス移転・改装を1回行って終わり」ではなく、実施した後もできることが常にないか、考えていきましょう。
例えば、軽微なレイアウト変更です。
オフィスの移転・改装の結果、ほとんど使われていないエリアが出てくれば、プチコワーキングスペースにしたり、休憩室にしたりといった変更は、実際によく行われています。
「インナーブランディングは、どこまで進めたら成功と言えるのでしょうか?」
上記は、よくある質問です。
インナーブランディングの目的によってゴール地点は異なりますが、例えば「人材確保」「離職率の低下」などが目標であれば、2年後・3年後にわたって効果検証をしてみて、数値が改善していたら、それは「成功した」と言えると思います。
オフィスの移転・改装に関して言えば、先述した社内アンケートなどによって、
- 改装した部分をよく使っているか
- 働きやすい場所になったか
- フレキシブルに働けているか
- コミュニケーションが取れているか
などを評価してもらうことで、プラスの結果が集まっているなら、それも「成功した」と判断してもいいでしょう。
まとめ
以上、
- インナーブランディングに取り組む目的
- インナーブランディングに取り組むメリットとデメリット
- インナーブランディングを進める際に注意すべきポイント
- インナーブランディングに取り組む際に適したタイミング
- インナーブランディングの効果を確かめる方法
- オフィスの移転や改装はインナーブランディングの施策に適している
- オフィスの移転や改装の際にインナーブランディングを意識した事例
- インナーブランディングのために押さえておきたいオフィスの移転や改装をする際の6つのポイント
についてお伝えしました。
外向きに「このような会社です」とアピールすることが、アウターブランディングです。
それと同時に、
「うちの会社はこのようなことに力を入れていて、こういったことを世の中に広めていく」
「このようなビジョンでやっている」
ということを社員に再認識させるインナーブランディングを強化すれば、内外問わず会社のファンが増えるということになります。
効果測定が難しいことではありますが、会社として次のステップに進むために、今必要なことかもしれません。
インナーブランディングを実際に推し進めるかどうかは別にして、1度しっかりとインナーブランディングについて考える機会を設けるのがいいでしょう。
オリバーでは、オフィス移転・改装のプロジェクトを数多く手がけています。
オフィス空間づくりにお困りの際は、ぜひ当社までお気軽にご相談ください。
オフィスブランドPLACE2.5では、お客さまのビジョンを実現する、唯一無二のオフィス設計を行っています。
また当社では自社オフィスのオフィス見学を実施しています。
オリバーのオフィスは全て見学していただくことができます。
詳しくは以下のページをご覧ください。