オフィスづくりに役立つコンセプトとは?具体例とともに必要性、決め方を紹介

オフィス移転や改装において役立つ「コンセプト」とは、どのようなものなのでしょうか。
答えは、「オフィスづくりを進めるにあたって立ち返ることができる、基本とする指針」です。
オフィス移転や改装を担当する担当者の中には、
- コンセプトの必要性について考えたことがない
- コンセプトはあった方がいいのか
- コンセプトは必要なので決めてほしい
というように、担当者によってコンセプトに対して様々な捉え方があります。
この記事では、オフィスのコンセプトについて、オフィス移転・改装を手がける株式会社オリバーが解説します。
- オフィスのコンセプトとは?
- オフィスコンセプトがもたらす4つのメリット
- オフィスコンセプト策定の具体的な5ステップ
- オフィス移転・改装にコンセプトが必要な理由
- コンセプトを活かす場面
- オフィスづくりにコンセプトを活かした3事例
- オフィスのコンセプトに使えるキーワード
について、詳しく解説します。
オフィスのコンセプトとは?

オフィスのコンセプトをオリバーでは、「オフィスづくりを進めるにあたって立ち返ることができる、基本とする指針」と定義しています。
オフィスをより良いものにするためには、例えば「ラグジュアリーな空間を作る」といったデザインテイストをコンセプトにするのではなく、
- ラグジュアリーな空間にすることによって、何を実現するのか
- 利用者にどういう気持ちになってほしいのか
を考えることがポイントとなります。
オフィスコンセプトがもたらす4つのメリット

明確なオフィスコンセプトは、プロジェクトを円滑に進めるだけでなく、企業に多くの価値をもたらします。ここでは、代表的な4つのメリットを紹介します。
| メリットの種類 | 具体的な効果 |
| ブランディング | 企業理念や文化を社内外に効果的に伝え、採用力や企業イメージを向上させます。 |
| 生産性向上 | 働きやすい環境が従業員の満足度を高め、創造性や業務効率を引き出します。 |
| 人材戦略 | 多様な働き方を許容するオフィスが、優秀な人材の獲得と定着に貢献します。 |
| イノベーション | オフィスコンセプトに基づき、カフェスペースやラウンジなど、従業員が自然と集まりたくなるような「マグネットスペース」を意図的に設ける動線計画を立てることで偶発的なコミュニケーションを促す仕掛けが、新たなアイデアの創出を加速させます。 |
企業理念の浸透とブランディング強化
オフィスは、企業の文化や価値観を物理的に表現する最大のメディアです。例えば、「オープンなカルチャー」を掲げる企業が、見通しの良い開放的な空間を作ることで、その理念を来訪者に直感的に伝えられます。これは、採用活動において候補者に企業風土をアピールしたり、取引先に信頼感を与えたりする上で、強力なブランディングツールとなります。
従業員エンゲージメントと生産性の向上
従業員が一日の大半を過ごすオフィス環境は、働きがいや満足度に直結します。自社のビジョンが反映された快適なオフィスは、従業員のエンゲージメント(仕事への熱意や貢献意欲)を高めます。「会社は自分たちのことを考えてくれている」と感じることが、仕事へのモチベーションとなり、結果的に組織全体の生産性向上へと繋がるのです。
多様な働き方の実現と人材確保
現代では、リモートワークとオフィスワークを組み合わせたハイブリッドワークが一般的になりました。オフィスコンセプトを考えることは、改めて「オフィスに集う意味」を問い直す良い機会です。コラボレーションを重視するのか、集中できる環境を提供するのかなど、自社の働き方に合わせてオフィスを最適化することで、多様な人材にとって魅力的な職場となり、優秀な人材の獲得や離職率の低下に貢献します。
コミュニケーションの活性化とイノベーション創出
新しいアイデアやイノベーションは、予期せぬ会話や部門を超えた交流から生まれることがよくあります。オフィスコンセプトに基づき、カフェスペースやラウンジなど、従業員が自然と集まりたくなるような「マグネットスペース」を意図的に設ける動線計画を立てることで、偶発的なコミュニケーションを誘発できます。こうした仕掛けが、組織の活性化と新たな価値創造のきっかけとなるのです。
オフィスコンセプト策定の具体的な5ステップ
では、実際にオフィスコンセプトはどのように作っていけばよいのでしょうか。ここでは、具体的な5つのステップに分けて解説します。
手順1:プロジェクトチームを発足する
まず、オフィスコンセプトの策定を推進するプロジェクトチームを立ち上げましょう。メンバーには、経営層、総務・人事、情報システム部門、そして各部署の現場代表者など、できるだけ多様な立場の社員に参加してもらうことが重要です。これにより、全社的な視点と現場のリアルな意見の両方を反映させることができます。
手順2:現状の課題を多角的に洗い出す
次に、現在のオフィスが抱える課題を徹底的に洗い出します。従業員へのアンケート調査で「会議室が足りない」「集中できる場所がない」といった具体的な不満点を集めたり、ワークショップ形式で部署間のコミュニケーションの課題について議論したりするのが有効です。経営層には、事業戦略の観点からオフィスに求める役割についてヒアリングしましょう。
手順3:企業のありたい姿(ゴール)を明確にする
洗い出した課題を解決した先に、どのような企業の姿があるべきか、3〜5年後を見据えた「ありたい姿(ゴール)」を明確にします。「イノベーションが次々と生まれる組織にしたい」「誰もが自分らしく働ける会社でありたい」といった、企業のビジョンや経営戦略と結びつけて考えることが重要です。このゴールが、コンセプトの核となります。
手順4:コンセプトをキーワードや文章で言語化する
ゴールを達成するためのオフィスのあり方を、覚えやすく、誰もが共感できるキーワードや短い文章で表現します。例えば、「偶然の出会いから化学反応を起こす『ラボ(実験室)』のようなオフィス」や「心と体を整え、最高のパフォーマンスを発揮する『ウェルネス・オフィス』」といった形です。この言語化されたコンセプトが、プロジェクト全体の道しるべとなります。
手順5:外部の専門家も積極的に活用する
コンセプト策定に行き詰まったり、客観的な意見が欲しくなったりした場合は、オフィスデザインの専門知識を持つ設計会社やコンサルタントに相談するのも有効な手段です。豊富な経験と他社事例に基づいたアドバイスは、自社だけでは気づかなかった新たな視点をもたらしてくれます。
オフィス移転・改装にコンセプトが必要な理由

「オフィスデザインのコンセプトがないとどういった問題が発生する可能性があるのか」
「オフィスデザインのコンセプトは、何のために必要なのか」
答えとしては、コンセプトとしての「言葉」がなかったとしても、プロジェクトを進める中、社内や設計パートナーとの間で理念や考え方を用いて共通認識を持つことができるなら、コンセプトはなくても問題ありません。
しかし新しいオフィス空間が、
- 何のためにある場所なのか
- どういうふうに使う場所なのか
ということに対して、社内や設計パートナーとの間で共通認識を持つことが難しい場合にはコンセプトという「言葉」が必要になってきます。
言語化することで、目的や思いが整理され、メンバーやオフィスを使用する社員に伝わりやすくなります。
また、プロジェクトを進める途中で迷ったときや様々な意見にさらされた際に、立ち戻って考えるための指針ともなります。
コンセプトを活かす場面は4つ

コンセプトを活かせる場面は4つあります。
- レイアウト設計を開始する際
- 基本設計~実施設計を進める際
- インテリアデザインのテイストを決め、カラーリングやマテリアルを検討する際
- オフィス完成後、運用する際
1.レイアウト設計を開始する際
オフィスのレイアウト設計を開始するタイミングでコンセプトを使用します。
レイアウトを検討する際、座席数など満たすべき条件を踏まえて設計を行うのはもちろんですが、それだけでは正解が複数ある状態となり、1つのレイアウトに絞っていくことができません。
レイアウト設計の際に、指針となるのがコンセプトです。
例えば「まじわる」をコンセプトに据えた場合、オフィスを利用する方がオフィス内を行き来する中に、動線が交差するポイントを意図的に作ることを考える必要があります。
その動線の交差点に、例えばカフェコーナーを設けることで、人々が集まり、交わるきっかけを生み出すことができます。
もしコンセプトを踏まえずにレイアウトを検討すると、そのカフェスペースは旧来の給湯室のようなものになり、人々が交わるスペースにはならなかったかもしれません。
このようにレイアウト設計を開始する際は、コンセプトは特に設計者にとって必要なものといえるでしょう。
2.レイアウト設計~実施設計を進める際
次にコンセプトを使用するタイミングは、基本設計から実施設計を進める中で、設計パートナーとお客さまがやりとりを行う際に必要となります。
まず、レイアウト設計の案が設計パートナーより提示されたタイミングで使用します。
お客さまはこのレイアウト案を確認する際に、レイアウト案が掲げたコンセプトを満たしているかどうか、照らし合わせて確認します。
例えば「まじわる」をコンセプトに据えているにも関わらず、オフィスを利用する方の動線が交わらないようなレイアウトになっていては、コンセプトを満たしたレイアウトにはならないことがわかります。
そしてさらに設計が進み、細部を設計していく実施設計の段階になります。
この際、設計パートナーとお客さまは、例えば収納の量や配置について話し合い、細部を詰めています。
こういったときに陥りがちなこととしては、当初コンセプトのためにあったレイアウトがいつのまにか崩れてしまっているという問題です。
例えば収納はオフィスの中央にあったほうがよいと考えて、当初オフィスの中心にあった「まじわる」ためのカフェコーナーがいつのまにか端に追いやられてしまっている、といったことです。
収納のレイアウトももちろん使い勝手を考慮して配置することは大切ですが、同時にコンセプトのために用意していたオフィスの中心にあるカフェコーナーのことも、考える必要があります。
そういった際に、コンセプトは何だったのか?ということに、設計パートナーもお客さまも立ち返って確認することが重要となります。
何のためのオフィス改装・移転だったのか、という目的を見失わないためにコンセプトは活かされます。
3.インテリアデザインのテイストを決め、カラーリングやマテリアルを検討する際
コンセプトは、インテリアデザインのテイストを決める際にも役立ちます。
レイアウト設計が終わったあと、実施設計を進める際に、内装に用いる仕上げ材を選定することとなります。
仕上げ材の選定の際には、カラーリングだけでなく、素材(マテリアル)をどれにするのかを選びます。
何となくテイストを決めるのではなく、決めるにあたっての指針としてコンセプトを用います。
コンセプトに沿った仕上げ材はどれなのかを念頭に置くことで、これまで検討したレイアウトや細部の収まりと、仕上げに統一性を持たせることができます。
4.オフィス完成後、運用を開始する際

オフィスが完成したあとにも、コンセプトを活かす場面があります。
このタイミングではコンセプトで掲げたことが、完成したオフィスを利用する方たちへと浸透するようにします。
- 経営層
- オフィス改装・移転プロジェクトメンバー
- 社員
- 取引先
- その他利用者
これら様々な立場の人がオフィスを利用します。
オフィス改装・移転によって叶えたい目的に対して完成したオフィスを活かすには、コンセプトを利用者が共通認識としていることが理想です。
この新しいオフィスをどういう意図をもって利用するとより良いのかを、利用者が認識することが重要です。
利用者にコンセプトを認識してもらうには、ワークショップや勉強会を開くのがよいでしょう。
オフィスが完成し、引越しをするまでの期間に開催することが最も多いです。
新しいオフィスの使用に関するルール説明と同時に開催することができます。
スケジュールによっては、工事期間中やレイアウト設計をしている期間に開催するお客さまもいらっしゃいます。
開催においては、お客さま自身で企画して実施する場合もあれば、設計パートナーやプロジェクトマネージャーが、プロジェクトマネジメントの一環で関わることもあります。
オフィスの紹介やルール説明と併せて、コンセプトやコンセプトに込められた意味を説明しましょう。
また、オフィスのコンセプトは、企業の考えや働き方をオフィスに体現することであるため、企業ブランディングにも繋がります。
採用活動や企業イメージの向上にも役立てることができます。
オフィスづくりにコンセプトを活かした3事例
次に、オリバーが手がけたオフィスデザインにコンセプトを活かした3つの企業さまの事例を紹介します。
- 事例1.原点回帰で理念を体現したオフィス|ノバシステム株式会社様
- 事例2.Link-to導入で共創を促す空間に|TC神鋼不動産サービス株式会社様
- 事例3.働き方の方針を反映したオフィス|ダイワボウ情報システム株式会社様
事例1.原点回帰で理念を体現したオフィス|ノバシステム株式会社様

リモートワークが増えたことで社員の出社率が低下する中、社員が出社したくなる空間稼働率の高いオフィスにしたい、また、実用的でデザイン性に富んだ斬新なオフィスにしたいといったご要望がありました。
オフィスのコンセプト
業務内容の都合上、出先での業務が多く、自社オフィスに出社することが非常に貴重な時間となっていました。
オフィスに出社した際に、
- 自社オフィスに帰属していることを感じてほしい
- 自社のルーツを感じてほしい
という考えから、プロジェクトのコンセプトを
「原点回帰 ~経営理念の3要素を空間に表現したオフィス~」
に設定しました。
言葉を具現化することで意識が変わり、社員同士の交流も深まり帰属意識の向上へつなげることを目的としています。
経営理念である3要素
- 「スマートに働く」
- 「よく学ぶ」
- 「よく遊ぶ」
をオフィスの中で表現しました。
完成したオフィス

「スマートに働く」
様々な働き方ができるABW(Activity Based Workingの略で、活動(働くシーン)に応じた環境で仕事をするスタイルのこと)を取り入れた空間。
社員同士が交流しやすいように、オフィス全体が見渡せてオープンなスペースを多く設けました。
「よく学ぶ」
ライブラリーコーナーや研修室を設け、調べ物をしたり、学んだものを分析、共有できるようなエリアです。
「よく遊ぶ」
バーカウンターを設置して、遊び心のある空間へ。
コロナ禍では、お店で中々飲めない時期でもあったことから、オフィス内にバーやプロジェクターをつけながら交流できるエリアを設けました。
もともと社内での懇親会が多い会社だったため、社内で気軽に楽しめる機能をオフィス内にレイアウトしています。
事例2.Link-to導入で共創を促す空間に|TC神鋼不動産サービス株式会社様

兵庫県明石市の大久保駅前にオープンした Link-to。
仲介・リフォーム事業の営業所兼ショールームだった施設を改装し、新しく営業所兼コワーキング施設をオープンされました。
オフィスのコンセプト
兵庫県明石市に住む地域の方々を中心に、地域の方同士や、不動産に関してお困りや相談がある場合に、新しい出会いや発見ができるような施設になってほしい。
そのような想いから、
- 人々がつながること
- コミュニケーションが取りやすい場所であること
- 気軽に不動産に関する情報を提供することができること
を全体の方針(コンセプト)とし、最終的に施設の名前を「Link-to(リンクト)」に決定しました。
完成したオフィス

施設の中には、
- 様々な発見や交流の基点となる「コミュニケーションエリア」
- 日々の仕事に集中して取り組んでいただける「コワーキングエリア」
- 不動産に関するご相談もいただける「商談エリア」
を備えています。
さまざまな利用シーンに応じ、一人ひとりが居心地よく、また楽しんで過ごせる空間になりました。
コミュニケーションエリア

カフェカウンターやソファーを備え、木や緑のあたたかさを感じリラックスできる居心地のよい空間です。
カフェカウンターは、コミュニケーションが促進されるレイアウトとなっており、コンセプトとなる人々とのつながりを創出することができます。
コワーキングエリア
背後の目線が気にならないよう配置したソロブースやWeb会議ブース等、ワークに集中できる空間です。
エリア中央のオープン席は、形状・デザイン、植栽の配置を工夫することで、他の利用者にも配慮した席となっています。
その時の気分や利用シーンにより、自由に席を選ぶことができます。
商談エリア
他の利用者を気にすることなく、ゆっくりと不動産に関するご相談や商談ができる空間です。
→ TC神鋼不動産サービス株式会社 様のオフィス事例はこちら
事例3.働き方の方針を反映したオフィス|ダイワボウ情報システム株式会社様

コロナ禍にて出社状況も変化している中、グループ会社の指針となるような「今までにないオフィスを作りたい」というご要望で、本社の一角のエリアを改装されました。
- コロナ禍にて出社状況がまちまちだったこと
- 出社している社員さまの中には、外出が少なく一日中社内で過ごす方も多かったこと
- パソコンなどのOA機器の販売を行う商社であり、PC業務も多かったこと
が課題として挙げられました。
オフィスのコンセプト
決まったコンセプトのキーワードは設けずに、現状の悩みに合わせてオフィスづくりの方針をご提案したお客さまです。
完成したオフィス

働き方の方針
「今までにはないような、新しい働き方ができる場所へ」
今回の改装にて「会社の指針となるようなオフィス改革を行っていきたい」という想いがあった背景があります。
モニターが上下昇降する多角形デスクを取り入れたり、キャスター付きの家具を取り入れるなど、オフィス家具の選択にも工夫をしています。
個人利用やチームミーティング、プロジェクト業務など、用途に合わせてレイアウト変更ができる空間となりました。
災害対策、人数変更、事業展開など、将来のことを見据えたフレキシブルな空間が実現できました。
インテリアの方針
テレワークが続き、孤立して仕事を行うことが増えています。
オフィスに戻ってきた際には、ダイワボウ様の社員の一員なのだと「帰属意識」を感じていただけるような「ダイワボウ様らしさ」を感じることができる空間に仕上がりました。
- コーポレートカラーを表現した床材
- ダイワボウ様の「D」をモチーフにした大きなテーブル【オフィス空間のシンボル】
また、デスクの天板には天然木を利用し、植栽を取り入れることで、社内にいても自然の心地よさを感じていただけるような、あたたかみを感じる場所が実現できました。
→ ダイワボウ情報システム株式会社 様のオフィス事例はこちら
オフィスのコンセプトに使えるキーワード

オリバーが、お客さまのコンセプトづくりにご協力する際によく登場する「コンセプトに使えるキーワード」をご紹介します。
必ずしも含めるべき、ということではなく、コンセプトを検討する際に認識しておいたほうがよい切り口の一つとして捉えることをおすすめします。
「多様性(ダイバーシティ)」
オフィスにおいての多様性(ダイバーシティ)には、例えば
- 多様な働き方
- 多様な過ごし方
といったことが挙げられます。
実際のオフィス空間には、ABWというスタイルを用いることが、ひとつの解決策です。
ABWは、Activity Based Workingの略で、活動(働くシーン)に応じた環境で仕事をするスタイルのことです。
ABW型のレイアウトであれば、
- 話したいときは、コミュニケーションがとりやすいエリアに
- 話しかけてほしくないときは、集中ブースに
というように、個人のその時々の状況に応じて適した執務空間を選択でき、多様な働き方、過ごし方を受け入れることができる空間を生み出すことができます。
ABW以外には一例として、
- 身体が不自由な方へのスロープやサインの用意
- 女性も働きやすい救護室や搾乳室、更衣室
- 海外の方も働きやすいオフィス家具
なども挙げられます。
年齢、性別、民族、宗教、疾病、性自認、性的指向、教育、国籍等の違いを尊重したオフィスづくりが、多様性(=多様な価値観を認め、存在を受け入れること)を生み出すオフィスにつながります。
「帰属意識(インクルージョン)」
オフィス改装や移転によって、帰属意識(インクルージョン)を増すこともできます。
帰属意識(インクルージョン)は、「その会社の一員であることに喜びを感じる」という意味です。
例えば、
- 誰かとなにかを一緒に取り組むための、場所や機会がある(一体感を感じる、チームの一員だと感じる)
- インテリア性の良い空間で働くことにより、会社の社員であることに誇りや満足感を感じる
といったものが挙げられます。
「ウェルビーイング」
ウェルビーイングは、身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを意味します。
一日のうち、長い時間を過ごすオフィス空間による影響は大きく、オフィスが快適な空間であるかどうかは、そこで働く人にとって身体だけでなく精神的にも大きな要因となります。
- 仕事のしやすさ
- 健康によい環境
といったことをオフィスは提供することができます。
例えば、
- 疲れにくいデスク、チェア
- 集中しやすい照明計画
- 快適に過ごせる休憩スペース
- 相談しやすい環境
- 能力を発揮しやすい環境
といったものが挙げられます。
「SDGs」

近年、SDGs(持続可能な開発目標)への注目や、環境負荷に対する取り組みは、ますます高まっています。
その中でオフィスの移転や改装を検討する際に、環境にやさしい材料や製品などを取り入れたいと考える企業は増えています。
例えば
- 「家具や内装材は、環境にやさしいものを使用したい」
- 「環境にいい取り組みを行いたい」
- 「取引先や親会社から環境保護への取り組みを求められている」
といったニーズがオリバーのお客さまからもあります。
オフィスを改装したり移転する際に、SDGsに貢献することができる方法の1つとして「森林を守る認証である、FSC®認証を取得した製品をオフィス空間で使用する」といったことが挙げられます。
→ SDGsに貢献するオフィス空間 – 森林を守るFSC®認証を取得した、環境にやさしい製品とは?
「生産性」
社員の生産性や業務効率の向上を叶えるためには、社員のモチベーションが高まるインテリア性の高い空間であると同時に、機能性の高さを備えたオフィスを目指す必要があります。
- 快適なオフィス家具
- 一人ひとりが業務に集中できるスペース
- 適切なレイアウト
- 使い勝手のよい動線計画
- イノベーションを生み出すきっかけづくり
これらはオフィス空間によって生み出すことができます。
その他、適切なデジタルデバイスの選択や空調管理など、オフィスにおける生産性を高めるための取り組みは多岐にわたります。
「ワークインライフ」
ワークインライフは、「仕事も、家族や友人、趣味、休み、健康、学びなどと同じように、自分 の人生の中の一つとして捉えよう」という考え方です。
ワークインライフを叶える空間には、自分らしい生き方を想像し、自分らしい働き方を考えることが求められます。
そのため、時間や場所にとらわれず働ける環境を整備することとなります。
例えば、仕事以外にも食事、休憩、運動、救護など様々な機能が挙げられます。
企業によっては、友人や家族を招待して待ち合わせたり談笑したりできるスペースを用意する企業もあるようです。
クリエイター系の企業では、あえて整然としたオフィスではなく、自分のデスク周りを好きなもので飾り付けることを許容している例もあります。
「エンパワーメント」「イクイティ」
エンパワーメントやイクイティは、「組織を構成する一人ひとりが本来持っている力を発揮し、自らの意思決定により自発的に行動できるようにする」という考え方です。
従来のオフィスレイアウトは組織型のレイアウトで、管理者と従業員といった図がオフィスの中でも表現されていました。
しかしエンパワーメントやイクイティを重要視する場合には、オフィスレイアウトもフラットな環境を用意していくことが必要となります。
個人の力を更に発揮しやすいような環境として例えば、
- 教育の場
- 発表の場
- 思考できる場
を整備していくことが大切です。
先述した「多様性」とも重なる部分があり、人によって能力を最大限発揮できる環境は異なることもあります。
例えば、
- ザワザワしてるほうがよい
- 人が行き来するところでは極端に集中できない
- 朝型や夜型である
などが挙げられます。
可能であればオフィスづくりや制度において、ある程度柔軟性を持たせることも、エンパワーメントやイクイティを高めることに寄与します。
まとめ
以上、オフィス移転・改修を手がける株式会社オリバーの視点から、
- オフィスのコンセプトとは?
- オフィスコンセプトがもたらす4つのメリット
- オフィスコンセプト策定の具体的な5ステップ
- オフィス移転・改装にコンセプトが必要な理由
- コンセプトを活かす場面
- オフィスづくりにコンセプトを活かした3事例
- オフィスのコンセプトに使えるキーワード
についてご紹介しました。
オフィス移転や改装において、オフィスのデザインのコンセプトは「オフィスづくりを進めるにあたって立ち返ることができる、基本とする指針」です。
プロジェクトを進めるメンバーにとっての共通認識としてぜひコンセプトを利用ください。