ファミレス席を導入したオフィス事例5選!導入する際のポイントやメリット・デメリットも紹介

「働き方改革」が提唱されるようになった2015年ごろから、オフィスに「ファミレス席」を導入する企業が増えてきました。
ファミレス席とは、ソファを向かいあわせにして、中央にテーブルを配置したボックス席のことです。
その名の通り、ファミリーレストランの座席のような見た目が特徴です。
当社オリバーの場合、オフィスの移転・改装にあたってファミレス席を設けるお客さまは、全体の9割にも上ります。
今回の記事では、
- ファミレス席が自社オフィスにないが、他社では見かけるので気になっている
- ミーティングスペースを見直したく、ファミレス席も候補の1つである
- ファミレス席が自社に適しているか判断するため、情報を集めたい
上記のような考えをお持ちの担当者さまのため、ファミレス席を導入したオフィスの事例や、ファミレス席のメリット・デメリットなどについて、オフィス移転・改装を手がける株式会社オリバーが詳しく解説します。
オフィスにファミレス席を導入した事例5選
- 豊田通商株式会社 様 名古屋オフィス
- 株式会社シャルレ 様
- A社 様
- TOHOシネマズ株式会社 様
- 株式会社クレスコ・デジタルテクノロジーズ 様
以下では、実際にオフィスにファミレス席を導入した事例を5つ、紹介します。
1.豊田通商株式会社 様 名古屋オフィス
アンテナ機能とグローバル視点で新規事業を推進されている、トヨタグループ唯一の商社である豊田通商株式会社様が、2023年10月にオフィスをリニューアルされました。

コミュニケーションの活性化を目指すため、ファミレス席を設置しました。
隣との空間を仕切るため、ファミレス席のベンチの高さをH1,350mmに設定しました。
また、防災備蓄品がベンチ下に収納できる仕様となっています。
さらに、背中が当たる部分の当たりを和らげるため、ウェービングを採用しています。
<事例を詳しく見る>
→ 自然とコミュニケーションが生まれるオフィス 豊田通商株式会社 様 名古屋オフィス
2.株式会社シャルレ 様
株式会社シャルレ 様は、「女性を元気にする会社」として、レディースインナーを中心とした衣料品・化粧品・健康食品などの販売をされています。
本社移転をきっかけに、3拠点のオフィスを一新されました。

株式会社シャルレ 様のファミレス席は、ABW(Activity Based Working)スタイルに対応していることが特長です。
ショートミーティングや集中作業、オンライン会議など、さまざまなシーンに使える多機能スペースとして活用できます。
通常の会議室を使わずに、軽い打ち合わせや1on1を行えるため、気軽でスピーディなコミュニケーションを促進できます。
<事例を詳しく見る>
→ オフィスらしくないオフィスを目指し、コミュニケーションを誘発する空間 株式会社シャルレ 様
3.A社 様
A社 様は旧本社の隣の、名古屋栄の中心地で新しいランドマークとなるビルの開業とともに、オフィスフロアへの入居・移転をされました。

オフィス全体のコンセプトとしては、「オープンな社風」を表現するため、会議室は閉ざされた空間ではなく、水の揺らぎのようなガラス張りの個室を採用し、シームレスな一体感を感じられるようにしました。
また、執務エリアと休憩エリアを分けることで、仕事と休憩にメリハリをつけ、今までの「ながら休憩」が減り、生産性の向上につながっています。
ファミレス席については、飲食店向けのようなファミレス席ではなく、オフィス空間に適したファミレス席にするために、座り心地を上質にするなど、家具の選定や配置にもこだわりました。
<事例を詳しく見る>
→ 「壁」を感じないオープンなオフィス A社 様
4.TOHOシネマズ株式会社 様
TOHOシネマズ株式会社 様は、全国で70ヵ所を超える映画館を運営されており、お客さまのご来場数は日本トップシェアの映画興行会社です。
従業員の増加による執務環境の改善として、従業員が心身ともに健康に、効率的に働ける環境を整えることを目的に、本社を移転されました。

移転前まではショートミーティングや少人数会議を8人用会議室で行っていたため、会議室不足が発生していました。
しかし移転後はファミレス席の活用により、その会議室不足は解消されました。
また移転に伴い、書庫や倉庫を大幅に削減したため、防災備蓄品はベンチ下に収納できる仕様にしました。
<事例を詳しく見る>
→ 出社したくなる、映画館のようなオフィス TOHOシネマズ株式会社 様
5.株式会社クレスコ・デジタルテクノロジーズ 様
株式会社クレスコ・デジタルテクノロジーズ 様は、「ネットワーク」「セキュリティ」「クラウド」「ソフトウェア」の4つのデジタル技術と、それらを融合させた「デジタルソリューション」「テクノロジーサービス」「プロフェッショナルサービス」の3つのソリューションで、様々な産業のDX実現に貢献されています。
社員間・部門間のコミュニケーションの活性化、社員が出社したくなるオフィスにすることを目指し、本社を移転されました。

ファミレス席をメイン導線にあえて設置することで、社員同士の接点が増えて、コミュニケーションの向上促進ができました。
また、各プロジェクトの打ち合わせの会話が自然と耳に入ることで、他の社員が興味を持ち、自然な会話のきっかけが生まれるように配慮しています。
さらに、ロングベンチ席やカフェエリアを隣接させているため、懇親会やランチ利用も可能です。
ベンチは、収納仕様になっています。
<事例を詳しく見る>
→ メイン動線からコミュニケーションを誘発する、活気のあるオフィス 株式会社クレスコ・デジタルテクノロジーズ 様
オフィスにファミレス席を採用する主な目的・用途

オフィスにファミレス席を採用する目的は多様ですが、主となるのは「休憩・食事・リフレッシュ」と「さっと集まって行うミーティング」です。
両方を兼ねるスペースとして、ファミレス席が機能します。
ファミレス席で休憩や食事を行うことで、オフィスの中にいながら、外のレストランに出かけているようなリフレッシュ感を味わうことができます。
また、会議室など部屋に入ってミーティングを行うよりも、ファミレス席でミーティングを行うほうが、よりフランクなやり取りが期待できます。
オフィスにファミレス席を導入するメリット・デメリット

オフィスにファミレス席を導入することには、様々なメリット・デメリットがあります。
オフィスにファミレス席を導入するメリット
オフィスにファミレス席を導入するメリットには、
- リフレッシュにもミーティングにも活用できること
- ファミレス席は座席が動かないので、常に整った状態にできること
(通常のチェア・テーブルのセットでは、チェアを動かした後に整えずに使い終わる方も多い) - 長ベンチなので、詰めれば3人座れること
- 荷物を横に置いて食事などができること
(カバンを床に置かずに済む) - 気持ちを切り替えられること
などが挙げられます。
実際のお客さまからのご意見としては、「気分を変えて食事などができ、リフレッシュできる」「気軽に打ち合わせができる」といった声があります。
<POINT1>会議室で行うミーティングと、ファミレス席で行うミーティングの違い
挨拶をする時など、ミーティングをしている人に声を掛けたい場合、会議室では部屋のドアを開けないと声を掛けられません。
一方ファミレス席であれば、ドアを介さないため、ミーティングをしている人に声を掛けやすいです。
上記のような気軽な声の掛け合いから起こる、自然なコミュニケーションの活性化を、ファミレス席には期待することができます。
<POINT2>会議室と比較した場合の、ファミレス席のスペース効率
会議室など部屋を作る場合は、室内に動線を用意しないといけないため、「ファミレス席のほうがスペース効率が良い」と言えます。
ファミレス席は、ソファとテーブルを置けば完成する(パーティションも不要)ので、動線の確保は必要ありません。
オフィスのスペースが限られている企業では、ファミレス席の導入を検討するとよいでしょう。
オフィスにファミレス席を導入するデメリット
- 仕事をサボっているように見えて使いにくい
- 4人座れる席でも、1人が座っていたら使えない
- 周りの音がうるさくてミーティングに集中できない
- 周りから「うるさい」と思われていないか気になる
上記は、ファミレス席に関するマイナスな意見です。
オフィスにファミレス席を導入するデメリットには、「サボっていると思われるのでは?」「うるさいと思われるのでは?」という心理的な課題を、社内ルールやレイアウトなどによって解決しなければならないことが挙げられます。
(後ほど、どのように上記の課題を解決していくのかを解説します。)
また、ファミレス席の居心地が良いために、悪く言うとミーティングがだらけた雰囲気になりやすく、ミーティング時間が長引く可能性もあります。
さらにファミレス席では音が漏れやすく、秘匿性が高いミーティングを行うことには適していません。
ファミレス席を活用してもらうための8つのポイント

以下は、ファミレス席を活用してもらうための、8つのポイントです。
- ファミレス席はオフィス内のどこに配置するとよい?
- ファミレス席を導入する際にルールは決めたほうがよい?
- ファミレス席はいくつ用意するとよい?
- ファミレス席には何名が座れるようにするのがよい?
- ファミレス席に設けるとよい設備・機能は?
- ファミレス席があるエリアの内装の雰囲気や照明はどうするとよい?
- ファミレス席は既製品家具を設置するとよい?それとも造作家具がよい?
- ファミレス席を既製品家具にしたい場合、どんな家具がある?
1.ファミレス席はオフィス内のどこに配置するとよい?
ミーティングに重きを置くなら、ファミレス席は執務席からそれほど離れていない位置に、設けるとよいです。
執務室に座っている状態でもファミレス席が視界に入り、空き状況がわかる程度の距離がオススメです。
あまり近すぎると声の問題が生じて、「使いづらい」と感じてしまいます。
逆に遠すぎると、執務席から空き状況が分からず、移動も面倒になってしまいます。
休憩に重きを置くなら、執務席とファミレス席が近いと仕事の音が気になって気持ちが休まらないため、執務席から離すとよいでしょう。
執務席から距離があれば、ファミレス席で食べる食べ物のニオイも、気になりにくいです。
ただしあまりにも離れすぎると、ファミレス席は「リフレッシュ専用」になってしまい、「サボっていると思われそう」という心理的なハードルが生まれてしまいます。
ミーティングに重きを置く場合も、休憩に重きを置く場合も、両方を兼ねるなら「(執務席から)近すぎず・遠すぎず」がポイントです。
音が気になる場合のファミレス席のゾーニングの工夫
コーヒーメーカーや複合機、電話などを使うと音が発生します。
上記のような「音が発生するものの近く」にファミレス席を配置すると、「話をしても周囲に迷惑を掛けない」という心理になり、ファミレス席が利用されやすくなります。
逆に、とても静かなところへファミレス席を配置すると、話し声が際立って感じられるため、利用を避ける心理になりやすいです。
2.ファミレス席を導入する際にルールは決めたほうがよい?
ファミレス席導入に際し、ルールを決めることがあります。
「個人の判断に委ねるのはどうなのか」という場合は、ルールを決めるとよいでしょう。(実際、ルールを決められているお客さまは多いです。)
- 予約を必須にする
- 「〇時~〇時」はリフレッシュ中心のため、ミーティングはしない
など、ファミレス席を確実に・安心して利用できるルールがあるとよいです。
3.ファミレス席はいくつ用意するとよい?

ファミレス席は、1つだけ単独で置かれていると使いにくいため、いくつか並べて配置することをオススメします。
ファミレス席を複数並べることで、区画を区切ることにもなるため、オフィス全体の空間づくりにも役立ちます。
ファミレス席の適切な数は、オフィスの規模や用途によって異なり、2~3個がよい場合もあれば10個以上あってもよい場合もあります。
「クローズドな会議室の数」と同じにすることが、1つの目安です。
「お昼休みにどれだけの従業員が、執務席から離れて食事をするか?」というイメージをして、それに対応する数を用意するのもよいでしょう。
いずれにしても、設計時によく検証する必要があるため、オフィスづくりの経験が豊富で検証が得意な設計パートナーに依頼をすることがオススメです。
4.ファミレス席には何名が座れるようにするのがよい?
ファミレス席は「2人座って、その向かいにも2人座る」、計4人の着席をイメージすることが標準的です。
あまりたくさん横に席が並ぶと、席の出入りが大変になってしまいます。
場合によっては、4人の席に6人が詰めて座るため、テーブルの幅は1,500mm~1,800mm程度が必要です。
5.ファミレス席に設けるとよい設備・機能は?

- 電源
- モニター
- 観葉植物
- 座席下の収納
上記は、ファミレス席に設けるとよい設備・機能です。
休憩を行う場合も、執務・ミーティングを行う場合も、電源があると役立ちます。
電源があることで、スマホの充電ができたりPCを使ったりできます。
(電源の設置には、工事が必要です。)
モニターがあると、リフレッシュよりはミーティング用途の印象が強まります。
モニターを付けるかどうかは企業さま次第ですが、オリバーのお客さまでは、モニターを付けられるケースのほうが多いです。
また観葉植物があると、自然に視界を遮るパーティションとしての効果や、癒しの効果が期待できます。
<関連コラム>
→ 【事例あり】オフィスに観葉植物をレイアウトするだけでオフィスが変わる!6つのアイデア
ファミレス席のソファ下スペースを有効活用するには、座面の下に収納を作ることがオススメです(座面を開けると、収納スペースが現れる)。

災害時の備蓄や、使用頻度の低い書類などをしまうことができます。
既製品のファミレス席には、座面下の収納スペースが設けられているものもありますが、造作家具であればご要望に応じて、座面下収納を自由に設計することができます。
パーティションの重要度はそれほど高くない
「周りの視線が気になる」という方にとっては、パーティションがあるほうが落ち着きやすいです。
しかし、周囲の方が離れたところからパッと見た時に、空き状況が分かりにくいという不便点も生じます。
またパーティションは視界を遮るには有効ですが、音はあまり遮ることができません。
音漏れを抑えることを重視するなら、パーティションで遮るのではなく、クローズドな会議室を用意するほうがよいでしょう。
6.ファミレス席があるエリアの内装の雰囲気や照明はどうするとよい?
ファミレス席があるエリアの内装の雰囲気や、照明計画をどうするとよいのかは、ファミレス席の用途によります。
休憩などリラックス・リフレッシュの用途なら、執務室とは異なった雰囲気がよいでしょう。
ミーティングの用途であれば、あまり装飾は必要ありません。
執務室と同じ内装にする場合もあります。
ただ、カフェのような空間で仕事をすることに抵抗がない企業も増えているため、あえて執務室とはガラリと雰囲気を変えた内装・照明にすることも1つの方法です。
7.ファミレス席は既製品家具を設置するとよい?それとも造作家具がよい?
壁から壁までピッタリとレイアウトしたい場合は、寸法に合わせて造作家具を作ってもらうとよいでしょう。
また造作なら、内装の雰囲気に合わせたデザインにすることも可能です。
既製品にも良い物がたくさんありますが、「より良い環境を」と考えるなら、既製品家具をただ置くのではなく、周りのトーン・寸法に合わせてアレンジメントできるほうがよいです。
8.ファミレス席を既製品家具にしたい場合、どんな家具がある?
ファミレス席を既製品家具で導入したい場合は、以下のようなアイテムがオススメです。
S・SF-G773

ラウンドフォルムが特徴のミーティングソファです。
S・OS-E625

セミプライベート型のブースです。
S・SF-E626

背もたれにより、周囲を囲んだブースのようになるミーティングソファです。
ファミレス席を設けるためにかかる費用は、ソファやテーブルのグレードによります。
ファミレス席は、会議室を1つ設けるより費用を抑えて導入することができます。
まとめ
以上、オフィス移転・改装を手がける株式会社オリバーの視点から、
- オフィスにファミレス席を導入した事例5選
- オフィスにファミレス席を採用する主な目的・用途
- オフィスにファミレス席を導入するメリット・デメリット
- ファミレス席を活用してもらうための8つのポイント
について、解説しました。
ファミレス席は、現代のオフィス・働き方にマッチしたスペースと言えるでしょう。この記事を参考に、ファミレス席の導入を検討してみてください。