働きやすい職場を実現するには?まずは「コミュニケーション」で課題を明らかにする
近年、同じ職場で働き続けるのかどうかを考える際、また就職先を探す際に、人々は給与などの条件と同じくらいに、「働きやすい職場であるか否か」を重視しています。
では一体、働きやすい職場とはどんな職場でしょうか?
例を挙げると、
- 自分の意見が言いやすい職場
- 自分の意思で行動できる職場
- 自分の存在意義をしっかり感じられる職場
などが該当します。
さらに、オフィス内装に関するところで言えば、
- 整理整頓されている職場
- 雰囲気が明るい職場
といったことが、働きやすい職場の条件の例です。
これらの条件をしっかり満たしたうえで、上司・部下に関係なく互いにコミュニケーションを取れることが、働くうえで理想的な環境だといえるでしょう。
企業の立場としても、働きやすい職場を実現したいのはやまやまですが、「どんなことを、どんなふうにすれば働きやすい職場になるのか、なかなか見当がつかない」という企業さまが多いのではないでしょうか。
<働きやすい職場を実現する際のポイント>
まずは社内コミュニケーションを活性化する
↓
コミュニケーションによって明らかになった社内の課題をリストアップする
↓
どの課題に対して優先的に解決するのか、課題に優先順位をつける
↓
課題を解決するための施策を検討し、実施する
↓
働きやすい職場になったかどうかを測る
そこで今回の記事では、オフィス移転・改装を手がける株式会社オリバーが、
- 働きやすい職場を実現することで生まれるメリット
- 働きやすい職場をつくるために最初にするべきことは、従業員とコミュニケーションをとり課題を明確にすること
- リモートワークの増加に伴う、コミュニケーションの問題
- 課題を明確にした後に、働きやすい職場にするための施策を検討する
- 「オフィス空間の改善」によって実現する働きやすい職場
- オフィス移転や改装によって、働きやすい職場に変化したかかどうかを測る方法
について、詳しく解説いたします。
働きやすい職場を実現することで何が得られるのか知りたい人、どうやって働きやすい職場を実現するのか知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
働きやすい職場を実現することで生まれるメリット
働きやすい職場を実現することで、結果的には従業員エンゲージメントの向上、それがもたらす生産性の向上が期待できます。
従業員エンゲージメントとは、「会社に貢献したい」という従業員の自発的な意欲や、従業員と企業間における“双方向の結びつき”のことを指します。
働きやすい職場にすることで、
- 自分自身の仕事を頑張ろう
- 従業員同士、互いに協力しよう
- 困っている人を助けよう
- 新人をしっかり教育しよう
- 感謝の気持ちを持とう
こうした気持ちが、従業員に芽生えるようになります。
それぞれの従業員が、自分の仕事を頑張るだけでなく、周りへの気配りができるようになることは、従業員エンゲージメントの向上が課題になっている昨今、非常に重要度が高いことです。
逆に、
- 上司の機嫌が気になる
- 他部署との関係が希薄で依頼などがしづらい
- 空調や照明などのオフィス環境が悪い
- デスクやパソコンなど、個人が使うデバイスの機能が業務にそぐわない
- 社内システムなどが使いづらい
など、このような「働きにくい職場」では、従業員が本来やるべき仕事にあまり集中できず、前向きな気持ちも生まれにくくなってしまいます。
職場というのは本来、それぞれの従業員が持つ本来の能力を出し切れるように、少なくとも邪魔をしないように、整えられているべきです。
働きやすい職場にすることは、離職率の低下やよりよい採用に関係する
働きやすい職場にすることは、離職率を低下させることや、よりよい採用をすることに関係があります。
離職率について言えば、どれだけ仕事の内容に魅力を感じて入ってきてくれた人でも、人間関係を含む“環境”がよくなければ、すぐに辞めてしまうかもしれません。
そのため、後述する“働きやすい職場にするための施策”を、行う必要があります。
また、働きやすい職場になって、
- 人間関係が良さそう
- オフィスが綺麗
- 働き方が最先端
というプラスの印象を持たれるようになれば、採用に人が集まりやすくなり、結果として良い人材の確保に繋がります。
働きやすい職場にすることは、従業員のエンゲージメント向上に関係する
業種・職種によりますが、固定席を作らずに自分の好きな席で仕事ができる「フリーアドレス」や、仕事内容や気分に合わせて、働く場所・時間を自由に選ぶ働き方である「ABW(Activity Based Working)」を導入できれば、仕事に前向きに・能動的に、取り組んでくれる効果が期待できます。
先述した、「従業員エンゲージメント」の向上が叶うということです。
従業員エンゲージメントの向上は、個人の生産性向上に繋がり、個人の生産性向上は、会社の業績アップに繋がります。
働きやすい職場をつくるために最初にするべきことは、従業員とコミュニケーションをとり課題を明確にすること
働きやすい職場をつくるためには、
- 環境:コミュニケーション、相談しやすさ、助け合いなど
- 機能:PCのスペック、デスクの広さ、用途に応じた部屋の整備など
この2つの両方が良好でなくてはいけません。
とりわけ重要なのが、「環境」の一部である「コミュニケーション」です。
そして、従業員とコミュニケーションが取れるようになって初めて、働きやすい職場をつくるための課題が見えてきます。
“コミュニケーションが取れている状態”というのは、上司と部下のコミュニケーションが円滑に行われている状態のことを指します。
さらには、経営者の考え方が他の従業員にもきちんと伝わっていて、困った時・悩んだ時のサポートが様々な側面から行われる、そのような状態が理想的です。
以前は「働いてさえくれればよい」「席数さえ揃っていればよい」という考えが比較的多く、コミュニケーションの重要性は、そこまで叫ばれていませんでした。
しかし現在は上記のような考え方を脱却し、「働きやすい職場づくりのために、コミュニケーションを取ることによって明らかになる課題を解決していくことが大事」という考え方に、多くの企業は移行しました。
実際、オフィス移転・改装にあたっての要望で、「まずは、コミュニケーションを取ることができるオフィスにしたい」と挙げる企業さまが増えています。
コミュニケーションによって明らかになる課題
コミュニケーションが取れる職場に変化すると、職場にある課題が見えてきます。
コミュニケーションが活性化されると、
- 上司と部下
- チームと他のチーム
- 経営者と社員
といった関係において、コミュニケーションの内容は、互いにとってよい話も悪い話も含まれます。
コミュニケーションの活性化により、ミスやトラブルの報告といったこれまで躊躇しがちだった内容のやりとりも、行われやすくなります。
そうなることにより、課題の早期発見と早期解決につなげることが期待できます。
リモートワークの増加に伴う、コミュニケーションの問題
「リモートワーク(在宅勤務)の増加で、従業員がオフィスに来てくれなくなった。自主的にオフィスに来てもらうには、どうしたらいいか?」という悩みが、最近よく聞かれます。
企業の希望としては、「できるだけ出社してほしい」という声が多いようです。
具体的には「1人でやる仕事が多くても、週に2回は出社してほしい」や、「皆で進める仕事だから、やはり週5で来てほしい」といった声です。
企業が従業員にオフィスに来てもらいたい理由は、“なるべく随時コミュニケーションを取りたいから”です。
リモートワークが続くと、必然的に個別の動きが多くなり、チームの一体感がなくなって、従業員が何を感じているのか、そして何に悩んでいるのか、把握しにくくなります。
これにより、従業員エンゲージメントが低下する=離職率が悪くなる・業績が悪くなるという事態が想定されます。
また、メンタルヘルスの観点からも、1人で仕事をしすぎるのはよくないといわれています。
オフィスに行く=仲間に会うということが、精神衛生上も大切なことなのです。
コミュニケーション不足により、仕事のミスが発生することもある
リモートワークが続き、従業員同士がコミュニケーション不足に陥ることで、仕事のミスが発生する場合もあります。
より具体的に言うと、「伝えたつもりだったけど伝わってなかった」が原因の、同じオフィスにいれば気付ける類の失敗が、多く発生してしまうのです。
コミュニケーション不足により、新入社員への教育が難航した
新入社員への教育も、リモートワークのもとでは、なかなかうまく行えません。
新入社員にとって、オフィスの雰囲気がわからないという状況は、実に大変なことだと思います。
こうした、「人材育成上の“遅れ”を何とか取り戻したい」という思いを持つ、経営者もあります。
以上、リモートワークの増加に伴う、コミュニケーションの問題について解説しました。
一方で、育児や介護・通勤時間が多くかかるような方にとっては「働きやすい職場」の条件が「リモートワーク(在宅勤務)ができること」になっている人もいます。
リモートワークによって発生する課題と、リモートワークによって生まれているメリットの両方を認識しておくことが大切です。
課題を明確にした後に、働きやすい職場にするための施策を検討する
働きやすい職場をつくるために最初に行うべきは、「コミュニケーションを取り課題を明確にすること」だと、先述しました。
ここではその“続き”について、お話しします。
課題が浮かび上がってきたら、「(そうなっているべきなのに)なぜそうなっていないのか」、原因を探りながら、どのような状態が理想の形かを明確にしていきましょう。
原因の探り方には、従業員にヒアリングをしたり、アンケートを取ったりといった方法が挙げられます。
各課題は細分化して、施策を考えていくとよい
各課題の解決策については、細分化すると、やるべきことが見定めやすいです。
- DX(デジタルトランスフォーメーション)で解決?
- オフィスのレイアウトで解決?
- インテリアで解決?
- 社内制度の見直しで解決?
例えば上記のように、検討することができます。
なお、複数の課題が見つかった時に、どれから優先して解決に取り組むべきかは、一概に「これ」と言えない部分があります。
そこで施策を実施する前に、経営層(またはコアメンバー)による方向合わせを行いましょう。
- リストアップされた課題のうち、重要なものはどれか?
- コストや順番的に、どの課題が改善できそうか?
- 課題にあった施策は何か?
どういう順番で課題の解決に取り組んでいくか、経営層が主体となり、しっかり方針を定めます。
「オフィス空間の改善」によって実現する働きやすい職場
「物音がする/一切しない」など、働きやすい職場の環境的な特徴というのは、一概に言えない部分があります。
例えば、ある程度賑やかな環境が働きやすいと感じる人もいれば、しんと静かな環境が働きやすいと感じる人もいるからです。
また、ずいぶん前から話題になっている「フリーアドレス」ですが、実際にはフリーアドレスが適さない職種もあります。
フリーアドレスというよりむしろ、“それぞれの人に合った働きやすい環境が用意されている”ことでしょう。
特に、先ほど従業員エンゲージメントの話で出てきた、「ABW(Activity Based Working)」は、“各従業員に最適な空間を用意する”という意味でもあります。
再度説明するとABWとは、“社員が自律的に業務内容や気分に合わせて、時間と場所を自由に選択するという働き方”のことです。
デスクや椅子、温度、周りの音など、自分の好みに合わせて、自分が働きやすいと思う場所に自由に移動できる環境が、理想的です。(=フリーアドレスの良さ)
逆に固定席の人は、コピー機や収納が近いことやデスクや音環境などが整っていること、(固定席であっても)他の従業員とコミュニケーションを取りやすいことが、理想的な環境の条件になるでしょう。
確実に良いのは「健康的な環境」を整えること
働きやすい環境は人それぞれですが、1つ確実に「そのほうが良い」と言えるのは、健康的な環境に整えることです。
- 暗すぎてモニターが見にくい
- 椅子が悪くて腰が痛い
- 机の高さが合っていない
- 空気が悪い
- 温度が不快
こういった仕事をするうえで基本的なこと、健康に関わるようなことは、優先的にしっかり改善していきましょう。
「WELL認証」という、人間の健康に対して建物や空間が貢献できることにフォーカスした認証制度は、健康的なオフィスづくりの参考になります。
オフィス空間の改善によって実現した働きやすい職場の事例
以下は、当社オリバーのオフィス改装・移転によって実現した、働きやすい職場の事例です。
【1】株式会社メニコン様 メニコン シアターAoiビル|コンタクトレンズ総合メーカー
株式会社メニコン様は、グループ会社含め、名古屋市内に分散しているオフィスを本社エリアへ集約するため、オフィスを新築されました。
テーマは、旅をするようにオフィス内を移動できる、トラベル型ウェルネスオフィスです。
経営理念である「創造」・「独創」・「挑戦」を実現できるオフィスとして、先述したWELL認証レベルとABWの考え方を意識したレイアウトにし、社員がどこにいても快適に働くことができる空間を目指しました。
どこでも仕事ができるフリーアドレスオフィスのため、それぞれの場の用途に合わせた什器を設計しつつ、エリアに合わせて家具をご提案しました。
コミュニケーションエリアでは、クイックミーティングや、ちょっとしたコミュニケーションがとりやすいカウンターテーブルを、イベントを行う予定のある9階フロアでは、可動できる家具を中心にご提案しました。
集中エリアでは、完全プライベートの個室ブースを置いたクローズエリアの他にもセミクローズ、オープンエリアに分け、気分や業務内容に合わせて場所をお選びいただけます。
フロアごとで異なる役割を持っているため、1日の中で様々なシーンが生まれ、移動が楽しくなるオフィスです。
<株式会社メニコン 様 メニコン シアターAoiビル 事例はこちら>
→ 旅をするように、自ら必要な場所を選び、主体的に働くことができるオフィス
【2】アイテック阪急阪神株式会社様 i-TEC Prime Center Osaka|情報通信サービス業
人々の暮らしに寄り添い、「誰かのために」 を大切にするアイテック阪急阪神様の企業理念に沿い、
“「for i」…人に寄り添い、人を inspire するコールセンターへ”
をコンセプトに、社員のモチベーションや組織に対するロイヤリティが高まるセンターをご提案しました。
休憩室は、執務スペースとエリアをしっかりと分けることで、社員がラウンジのようにリラックスできる空間になりました。
たくさんの緑を取り入れながらオープンな空間にすることで、社員同士のコミュニケーションを促進し、日々の業務の中に少しの癒しとやる気をプラスするセンターを目指しました。
部屋ごとにインテリアカラーを変えることでメリハリをつけ、インテリアで社員の気分を切り替えることができます。
<アイテック阪急阪神株式会社様 i-TEC Prime Center Osaka 事例はこちら>
→ 社員のモチベーションが向上するセンター
オフィス移転や改装によって、働きやすい職場に変化したかかどうかを測る方法
働きやすい職場かどうかを測るには、
- アンケートを取る
- ストレスチェックを行う
- 離職率を確認する
といった方法が有効です。
ただし、単発的にアンケートを行うだけでは、本音が隠れることもあります。
日々コミュニケーションを取り、何か悩みがある時に打ち明けやすい状態にしておくことが、必要です。
何か施策を行った後は、働きやすい職場づくりが前進したかどうかを検証するため、ビフォーアフターの比較はきちんと行うほうがよいです。
すぐに比較できるものとしてはアンケートが、中長期的に比較できるものとしては生産性・業績・離職率などの数値があります。
下記は、オフィス移転・改装に関するアンケートの参考項目です。
- オフィスがフリー席になることにより、他の部署とのコミュニケーションの頻度や質は向上しましたか?
- 社員同士の雑談や何気ない会話から、業務内容に関するヒントを得た経験はありますか?
- オフィス内に音楽が流れていることで、コミュニケーションが取りやすくなると感じますか?
- インテリア性のあるオフィス空間は、社内のコミュニケーションの活性化に影響していると感じますか?
- 上司や他部門の方とコミュニケーションがとりにくいオフィス空間はどのような空間だと思いますか。これまでに経験があれば教えてください。
- 改装後のオフィス環境に満足していますか?
- 友人や家族に自慢できるオフィスだと思いますか?
- オフィス改装をしたことにより、働く意欲が高まりましたか?
- 改装前に比べて、会社に対する印象・感情は変わりましたか?
- オフィス改装の効果として実感していることはありますか?
アンケートを取るタイミングが大切
アンケートを取るタイミングによって、回答の傾向が変わる場合があります。
例えば、オフィスの改装からすぐにアンケートを取ると、多くの従業員はオフィスが新しくなったことを新鮮に、そして嬉しく思い、アンケートは良い結果が返ってきやすいです。
アンケートに本音が反映されるのは、オフィスに慣れてきた頃、改装の実施から半年程度です。
かといってアンケートの実施を遅らせすぎると、以前のオフィスの改善点を思い出せなくなることが多いので、改装の“直後”と“半年後”、2回以上のアンケートの機会を作ることが理想的です。
アンケートに過去のオフィスの様子(写真など)を添えておくと、しっかりと比較した答えが返ってきやすくなります。
まとめ
以上、オフィス移転・改修を手がける株式会社オリバーの視点から、
- 働きやすい職場を実現することで生まれるメリット
- 働きやすい職場をつくるために最初にするべきことは、コミュニケーションをとり課題を明確にすること
- リモートワークの増加に伴う、コミュニケーションの問題
- 課題を明確にした後に、働きやすい職場にするための施策を検討する
- 「オフィス空間の改善」によって実現する働きやすい職場
- オフィス移転や改装によって、働きやすい職場に変化したかかどうかを測る方法
について、お伝えしました。
働きやすい職場をつくるための施策は、場当たり的に行っても成功率が低いです。
最初の取り組みとして、まずは従業員としっかりコミュニケーションを取り、今の職場にある課題点を明らかにする(=リストアップする)ことが大切です。
課題をリストアップしたら、特に重要なものはどれか、コストなどから考え現実的に実施できるものはどれか、そして課題が複数ある場合どの順番で解決していくか、こういった事柄を、経営層が主体となってしっかりと検討し、決定をしましょう。
働きやすい職場をつくるための施策の1つに、「オフィス空間の改善」があります。
改装前と改装後でアンケートなどをとり、変化を測りましょう。
オフィスの改装は中長期的には、
- 個人やチームの生産性の向上
- 業績アップ
- 離職率の低下
- 良い人材の確保
などに繋がります。
今回のコラムが、働きやすい職場づくりの参考になれば幸いです。
当社オリバーでは、オフィス移転・改装のプロジェクトを数多く手がけています。
オフィス空間づくりにお困りの際は、ぜひ当社までお気軽にご相談ください。
オフィスブランドPLACE2.5では、お客さまのビジョンを実現する、唯一無二のオフィス設計を行っています。
また当社では自社オフィスのオフィス見学を実施しています。
オリバーのオフィスは全て見学していただくことができます。
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