従業員エンゲージメントとは?オフィス改装などの施策で築く双方向的な信頼関係
従業員エンゲージメントとは、従業員の会社に対する愛社精神と、会社の従業員に対する思いやりが育む、双方向的な信頼関係のことです。
従業員エンゲージメントを高めることは、離職率の改善や生産性のアップなど、会社が抱える課題を解決することに結びつきます。
しかし、従業員エンゲージメントは目に見えるものではないため、どう高めればいいのか、何をすればいいのかわからないという意見も多いです。
- 何が自社で取り組める施策なのかわからないので、幅広い施策を把握したい
- 従業員エンゲージメントが高まると、どういった変化が起こるのか知りたい
- 全社を巻き込んだ施策にするためには、どういった工夫が必要なのか知りたい
今回の記事では、上記のような悩みを持つ方に必要な情報を、オフィス移転・改装を手がける株式会社オリバーがお伝えします。
- 従業員エンゲージメントとは?
- 従業員エンゲージメントに影響する最大の要因は経営方針
- 従業員エンゲージメントの測り方
- 従業員エンゲージメントを高めるための施策
- 担当者だけが空回りせず、会社全体で従業員エンゲージメントの向上を取り組むために
離職率の高さや社員のチームワークに課題を感じている方や、従業員エンゲージメントが低いと感じており、高めるための取り組みが必要と思っている方の参考になれば幸いです。
従業員エンゲージメントとは?
エンゲージメントとは、ひと言でいうと「従業員の会社に対する愛社精神」のことです。
「会社への愛着」と捉えてもいいでしょう。
また、「満足度」「モチベーション」「忠誠心」とも関連する言葉です。
- 会社が扱っている商品が好き
- 経営層の方針に共感できる
- 自分が所属する部署のメンバーや、オフィスの仲間が好き
など、分解すると上記のようになります。
「エンゲージメントが高い」とは、従業員ひとりひとりが、会社のためにポジティブなマインドで働ける状態を意味します。
従業員がポジティブに働くことは、会社にとってもプラスの効果をもたらし、そのプラス効果が従業員にも還元されます。
従業員エンゲージメントは、一方的な福利厚生や忠誠心とは少し違い、会社が従業員のことを思い、従業員も会社のことを思う、双方的な思いやりを理想とします。
上記が実現できている状態が、「エンゲージメントが高い状態」だといえるでしょう。
転職の際、「給与さえ高ければいい」という見方は減ってきており、「会社に愛着を持てるか」「会社を好きになれるか」ということに、重きが置かれつつあります。
エンゲージメントを高めることはそう簡単ではありませんが、高めることができれば得られるものは多いです。
従業員エンゲージメントに対する関心が高まっている背景に「人材流動性の高さ(人材不足)」がある
従業員に会社で働き続けてもらうために、給与を上げることには限界があります。
業績とのバランスが崩れてしまうような、給与や賞与を設定することはできません。
また、仕事や暮らしに対する価値観も変化・多様化してきており、収入もその要素の一つでしかなくなってきているといえます。
従業員にとって収入は、例えば転職すれば手に入る場合もあるように代替可能な要素ですが、エンゲージメントは代替の難しい価値といえます。
そのため、従業員エンゲージメントを高めること、すなわち会社に愛着を持ってもらうことを重要視するケースが増えてきました。
現代社会は「転職するのが当たり前」で、いわゆる「人材流動性」が高い状態にあります。
従業員に会社への愛着、「この会社がいいよね」という気持ちを持ってもらえないと、どんどん人材が動いて(転職して)しまいます。
いい従業員に、長く在籍してもらえないのです。
現状、人手不足であることを多くの会社が感じています。
よって離職を防ぐため、新しい人を入れるために、働く個人の感情を大事にする場面が増えてきました。
「人を大事にしないと業績も上がらない」ということを、多くの会社が再認識しています。
従業員は、「他の会社ではどういう働き方をしているのか?」と、インターネットによって簡単に調べられるようになりました。
求人情報に載っている給与や雇用条件以外のこと、例えば働きやすさや働きがいといったことまで、口コミサイトやSNSで見ることができます。
「うちの会社は他の会社に比べて、働きにくい」と思った人は、その改善のために声をあげることはなく、黙って辞めてしまいがちです。
従業員エンゲージメントに影響する最大の要因は経営方針
従業員ひとりひとりがポジティブに仕事をするためには、
- 楽しくやりがいを感じられているか?
- 従業員どうし仲良く、コミュニケーションがしっかり取れているか?
などの要素が必要ですが、その土台になるのは会社の経営方針・経営者の思想です。
会社の経営方針や理念に多くの従業員が賛同している状態は、エンゲージメントが高い状態です。
また、「会社の経営方針に賛同できるか?」ということ以外に、「周りを信頼できているか?」ということも、エンゲージメントに大きく影響します。
仕事が大変でも、「自分は信頼されていて評価もきちんとされる」と分かっていれば、頑張れます。
いっぽう、頑張っても評価されないと思っていたり、隣の部署は暇そうなのに自分ばかり忙しい理由が分からなかったりする(納得できない)と、仕事を頑張ることはできません。
「何のために今のこの仕事があるのか」を、従業員にきちんと伝えて納得してもらうことが重要です。
従業員エンゲージメントが高まると、どういった変化があるのか?
従業員エンゲージメントが高まると、能動的・自発的に行動する従業員が増え、より質が高いサービスを提供できたり、より質が高いアイデアが生まれたりするメリットがあります。
これらのメリットは、生産性のアップに大きく寄与します。
また、「会社へ長く貢献したい」という気持ちが育つことで、離職率も下がっていきます。
さらに「会社の雰囲気が前向きになる」「会社の雰囲気がよくなる」といった変化も生まれるでしょう。
従業員エンゲージメントが高い会社には、
- 雰囲気が明るい
- 笑顔で働いている人が多い
- コミュニケーションがしっかり取れている
- 職場に必要な機能が整っている
といった、特徴があります。
従業員エンゲージメントが低いとどういった問題が起こるのか?
従業員エンゲージメントが低い(会社への愛着がない)と、個人の業務効率が下がり、それが会社全体の生産性の低下に繋がります。
また、社内コミュニケーションがうまくいかなくなり、情報共有不足に陥ります。
情報共有不足の結果、トラブルが発生することもあるでしょう。
そして「この会社でなくてもいい」という気持ちは、離職率の拡大に繋がります。
従業員が会社に不信感を持ったまま退職した場合、転職サイトの口コミに悪い評価を書き込むことがあり、新しく入ってくる人も少なくなります。
「人材不足が深刻化してしまうおそれが高くなる」、ということです。
従業員エンゲージメントが極度に低い環境では、うつの発生リスクや、職場内いじめの発生リスクが高くなってしまいます。
従業員エンゲージメントが低い会社には、
- 常に緊張感が走っており、精神的な負担が大きい
- 雑談含むコミュニケーションがない
- なんとなく居づらい
- 職場の機能が不便なまま放置されている
といった、特徴があります。
現在の会社経営において、従業員エンゲージメントは非常に重要な要素
先述したように、従業員エンゲージメントの高さ・低さは、業績や人材確保などの面で大きな影響を及ぼします。
会社として従業員エンゲージメントの上昇に取り組むことは、とても重要なことなのです。
「社内がギスギスしていても、業績を上げればいいのだ」という考え方もないではなく、短期的な成功もありえるかもしれませんが、力のある従業員が辞めるのを止められないと、思うような事業の継続は難しくなります。
近年、働き方改革が打ち出されるようになってからは、従業員エンゲージメントの意識は高まっています。
リモートワークの加速により会社離れが進むなかでも、「どうすれば会社で働くことに意義を感じてもらえるか」が、当面の大きな課題になるでしょう。
従業員エンゲージメントの測り方
ある取り組みの前後で、従業員に対しアンケートを取ることが、従業員エンゲージメントを測るための1つの方法です。
<例>オフィスの改装に取り組んだ場合の設問
- 会社に対する印象は良くなりましたか?
- 「会社に行きたい」と思えるようになりましたか?
- 以前よりも、コミュニケーションを取れるようになりましたか?
また、業界内の基準値を調べて、
- 離職率が極端に高くないか?
- 勤続年数が短くないか?
といった項目から、従業員エンゲージメントを客観的に測る方法もあります。
仮に、離職率が同じ企業内で、年度ごとに変化していることが分かった場合、
- 役員が変わったからでは?
- 制度が変わったからでは?
- 景気の影響を受け賞与が変動したから?
などと要因をピックアップし、内容を検討することができます。
従業員エンゲージメントを高めるための施策
- 従業員とコミュニケーションをとる
- 継続的な取り組みにするため、制度設計を見直す
- 従業員のやる気が発揮できる環境づくりをする
- オフィスの雰囲気を一新する
上記は、従業員エンゲージメントを高めるための施策の例です。
前提として、経営方針が従業員の思いと一致していることが必要となります。
給与などの待遇アップや福利厚生を見直すことも、従業員エンゲージメントを高めるために重要ですが、それで十分ではありません。
上記に加えて、人間関係を良くすることと、働く環境を整えることが、従業員エンゲージメントの向上に大きく寄与します。
従業員エンゲージメントを高める施策には、コストがかかるイメージがあります。
しかし実際は、「コミュニケーションを取れるようにする」「アンケートなどを実施し従業員の声を聞く」「従業員を適切に評価し活躍できる場を用意する」など、金銭的なコストがかからない施策も多いのです。
いっぽう、オフィスの雰囲気を一新する(オフィスを改装する)ことは、イメージ通りコストがかかりますが、そのぶん得られる効果も大きく独自的なものになります。
採用がうまくいったり、従業員が長く働いてくれるようになったりする効果です。
それぞれの従業員とコミュニケーションを取る
まずは、一人ひとりの従業員とコミュニケーションを取り、会社に対してそれぞれが抱える不安や悩みを聞き取りましょう。
方法として、雑談の中で聞き取りができればベストですが、その他にもアンケートを実施したり、感度の高い従業員を数名ピックアップして個別ヒアリングを実施する、座談会を開くなどがあります。
すべての不安や悩みを解決できるわけではなくても、解決しようと寄り添う「姿勢」を見せることが大切です。
ただし、例えばアンケートを取ったまま、その後何の施策もしないということは避けなくてはなりません。
その後のアンケートには正直な回答で協力してくれなくなってしまうだけでなく、不信感が高まる原因にもなりかねません。
- アンケート結果
- それを受けて改善した項目
- すぐには改善が難しい項目に対しては、いつ解決する予定なのか
といった情報をフィードバックすることが必要です。
ちなみに、オフィスの工夫によって、コミュニケーションを活性化し、雑談を起こしやすくするといった取り組みもあります。
- 固定席ではなくフリーアドレスを導入する
- ゾーニングの工夫によって、接触機会を増やす
- お客さまが入ることのできるエリアの設定を工夫する
上記のような工夫が、コミュニケーション活性化のために有効です。
<関連コラム>
→ コミュニケーションが生まれるオフィス空間に必要なポイント|事例&アンケート
継続的な取り組みにするため、制度設計を見直す
従業員の人生(新入社員→中堅社員→定年)を通して、フェーズごとの制度がきちんと存在すると、安心して長く働けるようになります。
転勤、結婚、出産、育児、そして定年と、従業員の人生の助けとなる制度を見直してみましょう。
また、ステップアップ・昇進や、リスキリングなどの機会が継続的に、細かく設定されているとよいです。
従業員が、継続的に目標を持てる環境を整えることが大切です。
従業員のやる気が発揮できるような環境づくり
従業員が仕事を少しでも楽しんでできるような環境づくりが、従業員エンゲージメントを高めることに繋がります。
例えば上司が部下に対して、励ましをしたり、声がけをするなどといった取り組みや、業務をおこなうための最適なデバイスの導入などです。
他にも、やる気がでる環境の例として「ABW」というオフィスレイアウトが挙げられます。
ABWは、Activity Based Workingの略で、活動(働くシーン)に応じた環境で仕事をするスタイルのことで、自由な働き方を推奨するスタイルとなります。
オフィス内には執務デスクだけでなく、ミーティングテーブル、ソファ、集中ブースなど様々な種類の働く場が用意され、各個人が自分の業務に合う場所を選択できる働き方です。
ABWになることで、人によってコミュニケーションが取りやすくなったり、業務に集中しやすくなったりする効果があります。
<関連コラム>
→ フリーアドレスとは?オフィスに導入するとどんな働き方になる?事例とアンケート結果も紹介
オフィスの雰囲気を一新する
今まではオフィスの改装について、
- お金が余ったから改装する
- 人数が変わったら改装する
という会社が多かったですが、近年は
- 採用強化をしたいから、オフィスのデザインをきれいにしたい
- 風通しを良くして従業員エンゲージメントを高めたいから、コミュニケーションの取りやすい環境にしたい
という理由で、オフィス改装を実施することが増えてきました。
「会社を変える」というメッセージの具現化として、オフィスの一新はよい手段です。
特に大きな会社では、会社を変えるという意思や経営者の思いは伝わりにくいものです。
そうした伝わりにくいメッセージは、オフィスの内装に反映することで、伝わりやすくなります。
またオフィス改装では、「会社に行きたいな」「ここで働く自分はかっこいいな」「家族や友達に自慢できる仕事だな」などと、従業員をポジティブな気持ちにすることもできます。
- 一部にフリーアドレス席を設けてみる
- 席を広くしてみる
- 従業員が快適に働ける設備を導入してみる
従業員が働きやすいようにオフィスを改装する時、従業員は「きちんと自分が大事にされているんだな」と感じることができます。
言葉だけでなく、形にしているということがポイントです。
オフィスを綺麗にすることも、従業員のモチベーションアップには繋がりますが、しばらくすると慣れてしまいます。
ただ単に綺麗なオフィスを作るのではなく、コミュニケーション活性化や個人の働きやすさの向上を目指した改装にすることが大切です。
注意点は、オフィスの移転改装を、ひとつの部署だけ優遇しないようにすることです。
また、固定席が向いた部署に対して無理やりフリーアドレスにするなど、無茶な改装はしないことも必ず踏まえましょう。
派手で斬新なレイアウトでなくても、従業員の意見を聞いて適切なオフィス改装を行えば、従業員エンゲージメントは高まります。
オフィスの移転改装によって、従業員エンゲージメントが高まった例
以下では当社オリバーが担当した、従業員エンゲージメントが高まるオフィス移転・改装の事例をご紹介します。
三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社 様
MINDさまの企業ロゴの形やカラーを取り入れ、会社に誇りを持てる空間をご提案しました。
サイバーフュージョンセンターのレイアウトは、部署間の連携がとりやすいようにハニカム構造の島置き型としています。
各ポジションの中心には、さっと集まりミーティングができるハイテーブルを用意しており、軽い打ち合わせや立ちの姿勢での作業が可能です。
各個人のデスクをブーメランデスクとし、多くのモニターを使用しても十分なスペースを確保できるようになっています。
→ 自社らしさを表現した、エンゲージメントを向上させるオフィス
株式会社渡敬 様
機能的な動線計画や高低差によるエリア分けなどの「ABW」を意識したゾーニングにより、気分や目的に合わせて自ら最適な環境を選択し、自由に働くことができるオフィスです。
「ABW」とは、「Activity Based Working (アクティビティ・ベースド・ワーキング)」の略で、従業員が業務内容に合わせて好きな場所で働けるというワークスタイルを意味します。
こちらは、専⾨書やカタログなどの書籍を閲覧できるライブラリースペースです。
書棚とカジュアルなフォルムのチェアでコーディネートされており、創造性のある作業に集中できます。
担当者だけが空回りせず、会社全体で従業員エンゲージメントの向上を取り組むために
従業員エンゲージメントは、誰かひとりが高めようと思っても高められるものではなく、会社全体で従業員エンゲージメントを高める「運動」にしていくことが重要です。
従業員エンゲージメントを高める施策を実行するためには、経営判断が大きいので、発案者は経営層をうまく巻き込んでいく必要があります。
経営層を動かしたら、その経営層から「こういうことをやっていく」と各セクションにしっかりアナウンスしてもらい、会社全体に従業員エンゲージメントアップの意識を芽生えさせます。
自社だけで推し進めることが難しいなら、コンサルティングなど外部の視点を入れることも有効です。
主観ではない、客観的な判断を取り入れることができます。
まとめ
以上、オフィス移転・改修を手がける株式会社 オリバーの視点から、
- 従業員エンゲージメントとはなにか
- 従業員エンゲージメントに影響する最大の要因
- 従業員エンゲージメントの測り方
- 従業員エンゲージメントを高めるための施策
- 会社全体で従業員エンゲージメントの向上に取り組むために必要なこと
についてご紹介しました。
従業員エンゲージメントを高めて、いい従業員が長く勤めて力を発揮できるようにし、会社の課題解決や業績アップに繋げましょう。
当社オリバーでは、オフィス移転・改装のプロジェクトを数多く手がけています。
オフィス空間づくりにお困りの際は、ぜひ当社までお気軽にご相談ください。
オフィスブランドPLACE2.5では、お客さまのビジョンを実現する、唯一無二のオフィス設計を行っています。
また当社では自社オフィスのオフィス見学を実施しています。
詳しくは以下のページをご覧ください。