オフィスデザインコンペの開催を成功させるための6つの工夫
オフィスデザインを実施してもらう設計パートナー企業を選定するために、コンペを開催する企業も多くあります。
コンペは、数社のオフィス設計パートナーに設計の声がけし、各社にオフィスデザインの提案をしてもらい、その中から実際に設計をしてもらう最適な1社を選ぶ仕組みです。
コンペは、よりよいオフィスを実現するために有効な手段です。
しかし、実際にコンペを開催したことがない、オフィス移転や改装の担当者にとって、ハードルを感じる取り組みであることも事実です。
この記事では、オフィスデザインコンペの開催を成功させるための6つの工夫を、オフィス移転・改装を手がける株式会社オリバーが解説します。
- オフィスデザインのコンペを開催するべきかどうかの判断を行う
- コンペ期間を含めた余裕のある全体スケジュールを立てる
- コンペで依頼する内容をしっかり練っておく
- 適切な業者を選定し、コンペ参加の依頼をする
- プレゼンテーションでは十分な質疑応答時間を設ける
- 審査基準をあらかじめ決めておく
について、詳しく解説します。
1.オフィスデザインのコンペを開催するべきかどうかの判断を行う
プロジェクトの初期段階において、オフィスデザインのコンペを開催するかどうかの判断をする必要があります。
判断するための材料として、
- コンペを開催するメリット
- コンペを開催するデメリット
- コンペを開催するべきかどうかの判断軸
について解説します。
コンペを開催するメリット
オフィスデザインのコンペを開催しない場合と比べ、コンペを開催する場合のメリットには次のようなことが挙げられます。
- 依頼内容や質疑の内容が統一されるため、同じ基準で比較検討でき採点しやすい
- コンペ参加業者がデザイン検討進めやすくなるため、精度の高い提案が出やすい
- 要項やスケジュールをあらかじめ決定することになるため、スムーズに進行しやすい
- プレゼンテーションのタイミングが各社揃うため、発注企業側の役員などの決定権者も参加するプロジェクトにしやすい
コンペを開催しない場合と比べ、きっちりとしたプロジェクトとして進めることができます。
コンペを開催するデメリット
一方、コンペを開催する場合のデメリットには次のようなことが挙げられます。
- 準備に手間がかかる(要項づくり、質疑に対する回答、スケジュール調整など)
- 説明会やプレゼンテーションの開催に手間がかかる(会場や機材の準備、スケジュールの確保など)
といった、手間に関するデメリットが挙げられます。
コンペを開催しない場合は、そういったフローを柔軟に進めることができます。
コンペを開催するべきかどうかの判断軸
コンペを開催するべきかどうかの判断は、次の項目を参考に決定するのがよいでしょう。
- 今回のオフィスの移転・改装の重要度
- 役員もプレゼンテーションに参加するかどうか
- 設計パートナーの選定を記録に残したいかどうか
- いつもオフィス設計を依頼している業者がいるかどうか
これらについて詳しく説明します。
なお、設計案や見積について数社比較検討するという点においては、コンペを開催しなくても実施することができるため、判断軸とはなりません。
今回のオフィスの移転・改装の重要度
オフィスの規模(広さや予算)にもある程度比例しますが、それよりも「今回のオフィスの移転・改装が、会社にとってどの程度重要か」という視点で判断することをおすすめします。
ちょっとした休憩室の改装といったものであれば、コンペを開催するほどではないかもしれません。
- 決して失敗できない
- 会社として大々的に実施したい
- 改装ではなく、オフィス移転である
といった点によって重要度を測ることができます。
役員もプレゼンテーションに参加するかどうか
先述の重要度にも関連しますが、プレゼンテーションに自社の役員も参加する必要があるかどうかも判断軸となります。
コンペのプレゼンテーションでは、コンペ参加業者は自らの設計案や見積について説明をします。
続いてそれらに対する質疑応答の場が設けられます。
その場に自社の役員も参加してもらうことによって、各社の提案を役員も把握することができ、設計パートナーの決定に直接参加することができます。
コンペを開催しない場合は、プレゼンテーションのタイミングは各社ばらばらの日程になるため、役員を集めた機会を設けることが難しくなってしまいます。
役員が参加することによって、オフィスの移転や改装プロジェクトを会社全体で実施していくことになります。
コンペを開催しない場合は、各社の提案を担当者がそれぞれヒアリングし、担当者が役員に対して説明をするという流れになります。
役員が参加するまでもない、担当者や担当部署レベルで完結できる内容であれば、コンペを開催せずに個別の打ち合わせで進めていくという選択もよいでしょう。
設計パートナーの選定を記録に残したいかどうか
コンペは、設計パートナーの選定経緯の記録を残しながら進めていくため、社内のコンセンサスをとるツールにもなります。
コンペでは、同じ条件のもとコンペ参加各社が提案を出し、同じ条件で審査をして、設計パートナーを選定しますが、それぞれの経緯での記録が残ることになります。
そのため選定が終わった後、例えば、
「設計パートナーの選定経緯を聞いていない」
「なぜこの業者になったのか?」
「なぜこの設計案になったのか?」
「きちんと各社を比較したのか?」
「こちらの業者のほうがよくないか?」
というような社内の声への対策になります。
また、選定に対するブラックボックス化も防ぐことにもつながります。
一方、これらの工程には時間も手間もかかるため、担当者だけで推し進めて問題ない場合はこのような詳細な記録は不要となります。
いつもオフィス設計を依頼している業者がいるかどうか
先述のようにコンペを開催するメリットもありますが、すでに信頼する設計パートナーがいる場合は、手間を掛けてコンペを開催する必要はありません。
まずはその設計パートナーへ相談するのがよいでしょう。
しかし、今回の移転・改装の位置づけを「いつものオフィス空間と違ったものにしたい」という場合は、コンペを開催するとよいでしょう。
以上、コンペを開催するべきかどうかの判断軸について解説しました。
2.コンペ期間を含めた余裕のある全体スケジュールを立てる
次に着目する点はオフィス移転・改装全体のスケジュールを立てることです。
オフィス移転の場合、コンペを開催しない場合でも少なくとも半年、長い場合は2年程度の期間を一般的に要します。
コンペを開催する場合は、プラス2ヶ月程度の期間が必要となります。
オフィス移転のスケジュールについて詳しくは以下の記事を参照ください。
→ オフィス移転のスケジュールは?遅れる原因や企業ごとの違いも解説
次に、コンペを開催する場合のスケジュールについて解説します。
コンペを開催する場合は、2ヶ月程度余裕をみる
先述のとおり、コンペを実施する場合はコンペを開催しない場合のスケジュールに比べ、プラス2ヶ月程度のスケジュールの余裕を見る必要があります。
- コンペの要項づくり
- 質疑に対する回答づくり
- プレゼンテーションの開催
などがコンペを開催しない場合に比べて増える工程となるためです。
コンペのスケジュール
次に、コンペを開催する場合のスケジュールを解説します。
- コンペ要項の決定
- 依頼する設計パートナー企業の選定
- 参加する設計パートナー企業を集め、説明会を開催
- 質疑依頼・質疑回答
- 設計パートナー企業による提案内容の検討
- プレゼンテーション・採点・結果通知
1.コンペ要項の決定
最初にコンペ要項を社内で検討し、決定します。
コンペの要項は、RFP(Request for Proposalの略)と呼ばれる提案依頼書にまとめます。
- 設計してもらいたいオフィスの要件
- コンペの提出物
- スケジュール
といったものを検討して書類にまとめます。
コンペ要項の作成方法については後述します。
2.依頼する設計パートナー企業の選定
次にどの設計パートナー企業にコンペに参加してもらうかを検討し、選定します。
設計パートナー選定のコツは後述します。
3.参加する設計パートナー企業を集め、説明会を開催
各設計パートナー企業が設計を開始する前に、すべての企業に集まってもらい、説明会を開催します。
コンペ要項の説明のほか、実際のオフィス現場を確認してもらうことが可能であれば、現状のオフィスを見てもらうのもおすすめです。
- オフィス移転の場合は、現在のオフィスと移転先のオフィス
- オフィス改装の場合は、現在のオフィス
を確認してもらうのが理想的です。
現場確認によって、設計パートナーは写真や図面だけでは判らない部分を把握し、設計に活かすため、非常に重要な工程です。
また、公平な状態でコンペを開催するために、各社の社名は伏せた状態で説明会は開催しましょう。
4.質疑依頼・質疑回答
説明会のあとには、質疑依頼・質疑回答という工程があります。
これは、コンペ要項や実際の現場を確認した各設計パートナー企業より、確認したい質疑を集め、まとめて回答をする工程です。
質疑依頼は、説明会から1〜2週間後に締め切ります。
設計パートナー企業が尋ねたい質問がある場合、所定の書類に記載し、期日までに提出してもらいます。
質疑依頼の締め切りから、1週間程度あとに、質問に対する回答を行います。
この際のポイントとしては、コンペに参加する全企業が、各社から出された質問とそれに対する回答をすべて見ることができる状態にする点です。
質問が出た企業に対してのみ回答するのではない点に注意しましょう。
理由は、各社の提案のベースとなる条件を揃えて不公平な条件で設計しないようにすることと、よりよい提案を引き出すためです。
説明会同様、回答する際は質疑した各社の社名は伏せておきましょう。
依頼する側がコンペに不慣れな場合、コンペ要項の抜け漏れが増えるため、質疑の数は多くなる傾向があります。
そのため、スケジュール通り回答が返せるよう1週間程度の余裕のある期間を設けましょう。
プロジェクト担当者だけでは回答できないような質問事項がある場合も多く、あらかじめ社内に協力してもらうよう働きかけておくことがポイントです。
5.設計パートナー企業による提案内容の検討
質疑の回答後に、各設計パートナーは提案内容の検討を開始します。
質疑の回答が出るまで具体的な設計を開始できないため、質疑の回答が遅れないように注意しましょう。
よい提案を各社に出してもらうためには、この工程に1ヶ月程度期間を設ける必要があります。
6.プレゼンテーション・採点・結果通知
提案内容の検討期間が終了すると、各社に提案内容のプレゼンテーションを実施してもらいます。
プレゼンテーションを経て、社内にて採点し設計パートナーを決定します。
コンペに参加した全社に対して、合否の結果通知を行い、コンペのスケジュールは完了となります。
- プレゼンテーションの日程
- 合否結果通知の日程
は、あらかじめ決めて通知しておきます。
また、採点のための審査基準は採点前に社内で決めておく必要があります。
先に審査基準を決めておかないと、コンペを開催する意味が大きく削がれてしまうため、必ず決定しておきます。
プレゼンテーションのコツと審査基準については後述します。
3.コンペで依頼する内容をしっかり練っておく
コンペで依頼する内容、つまりコンペ要項はしっかりと練って作成しておくことが重要です。
この要項に沿って各社は設計を進めるため、要項の内容によって設計案は大きく変化します。
また、オフィスデザインコンペは「予算の中でどのようなことが出来るのか」を求めることになります。
実際にコンペ要項に含める内容を次に解説します。
コンペ要項の内容
コンペ要項に含めるべき内容は次のとおりです。
プロジェクト概要
- プロジェクト事業名
- オフィスの住所
移転の場合は、移転先の住所を記載します。 - プロジェクト全体のスケジュール
いつ移転をする予定なのか、ビルが新築の場合はいつビルが竣工するのかなどの情報を記載します。 - コンペ自体のスケジュール
説明会の日程や質疑締め切り日、プレゼンテーションの日程など、先述したコンペのスケジュールを記載します。
もし、自社の業種があまり一般的ではなく特殊な業種であれば、どういった事業をおこなっているのかを紹介すると仕事内容のイメージが湧くため、加えておくとよいでしょう。
工事を実施するフロアに関する情報
工事をおこなう建物に関する図面を用意します。
テナントビルで手元にない場合は、あらかじめ管理会社より入手しておく必要があります。
図面は、もしCADデータがある場合はそれを用意し、ない場合でもPDFなどデータで用意しておきましょう。
用意するべき図面は次のとおりです。
- 平面図
- 天井伏図
- 展開図
- B・C工事の工事区分表
設計してもらいたい提案内容
設計に必要な情報と、設計してもらいたい提案内容をまとめます。
移転・改装を実施するに至った背景
移転・改装に関して、これまでどういった判断をおこなったか
オフィスのコンセプトやスローガン(用意している場合は示しておく)
設計してもらいたい部屋・エリアの指定
オフィスを利用する想定人数
必要な会議室の数
その他、新しいオフィスに関する要望や前提条件
オフィスのコンセプトについては、以下のコラムを参考にしてください。
→ オフィスづくりに役立つコンセプトとは?具体例とともに必要性、決め方を紹介
予算、その他条件
今回のオフィス移転・改装のプロジェクトの予算は、可能であればコンペ要項に含んでおくことが重要です。
予算によって、提案できるオフィス空間は大きく変わります。
正しい情報を示さないまま進めてしまうと、途中で設計を一からやり直しをすることになってしまうため注意が必要です。
各社から提出される見積書の項目を揃えると比較検討しやすくなるため、見積書のフォーマットも作成しておくとスムーズです。
また、オフィスが入るビルから求められている条件も含めておくとスムーズです。
ビルによっては例えば天井材は剥がしてはいけないなど、改装してはいけない部分の設定があるためです。
さらに、電話工事やセキュリティに関する工事は、今回のコンペの範囲に含めるのかどうかも質疑依頼で設計会社から尋ねられることが多い点です。
あらかじめ要項に含んでおくとよいでしょう。
オフィスの改装や移転の費用目安については、以下のコラムを参考にしてください。
→ オフィスデザインと工事の費用目安は?改装や移転の実例金額も紹介
また、質疑依頼用のフォーマットもあらかじめ作成しておくと各社の質疑の記載方法が揃うため便利です。
提出物
各社の提案を提出する際の提出物についても整理しておく必要があります。
- 提案書の様式(パワーポイント、PDFなどのデータ形式 等)
- 見積書
- CGパースの有無(設計された空間のイメージをつかむためのCGパースを依頼内容に含めることもあります。パースの作成が必要な場合は各社の設計期間は長めに設定します)
プレゼンテーションの要件
- 開催日時
- 会場
- プロジェクターなどの有無など
コンペ要項を作成する上での注意点
コンペ要項を検討する際、細かく設定しすぎると各社同じような提案になってしまうことがあります。
そのため要項には、「これを設計してほしい」というような設計する内容は詳しく書かず、どういうオフィスにしたいのかという要望を伝えることがポイントです。
「要望を叶えるためのアイデア」を各社から提案してもらう、というスタンスで要項は作成しましょう。
例えばフリーアドレスに関する説明において「6人用テーブル2台、4人用テーブル3台、集中ブースが6席程度」というような詳細を要項に記載するのではなく、「フリーアドレスも検討しているが、企業文化的に新しいものになじむのが難しい」など、自社の企業文化を解説するような表現のほうが幅広くアイデアを募ることができます。
コンペ要項の作成は外注できる
ここまでコンペ要項の作成について解説しましたが、コンペ要項の作成自体を外注することも可能です。
その場合、コンペのプロジェクトマネジメントを外注することになります。
外注先はコンサル会社などが挙げられます。
プロジェクトマネジメントを外注する利点は、それらのノウハウを持ったところに依頼できることです。
企業にとって、オフィス移転やオフィス改装の機会は頻繁にはなく、ノウハウが社内に蓄積していることが少ないためです。
4.適切な業者を選定し、コンペ参加の依頼をする
どの業者(設計パートナー企業)にコンペに参加してもらうのかということも、重要なポイントとなります。
企業選定のコツと参加依頼におけるコツをお伝えします。
よいオフィスづくりができる設計パートナー企業選定のコツ
幅広い提案を集められるコンペの良さを活かすため、特徴に違いのある企業を複数社選びコンペに参加してもらうことがコツです。
特徴に違いのある企業に参加してもらうことで、各社違ったアイデア、方向性を示してくれるため、幅広い案の中から比較検討することができます。
コロナ禍を経て、働き方に対する考えが大きく変化しています。
オフィス移転や改装は、自社における多様な働き方を探ってみるよい機会となるでしょう。
よい企業に参加してもらうための、参加依頼のコツ
では、選定した企業にコンペに参加してもらうためにはどういった点を押さえることが大切なのでしょうか。
- 参加してもらう企業の数
- 移転・改装プロジェクトの予算
- コンペの期間やプロジェクト全体の期間
の3つの視点で解説します。
参加してもらう企業の数は3社程度。多くても5社まで
コンペに参加してもらう企業の数は、3社程度が理想的です。
多くても5社までに留めておくことが重要です。
理由は、
- 多すぎると各社のプレゼンテーションを聞くことが大変
- 設計パートナー企業にとって競合が多すぎると参加辞退につながる可能性がある
といったことが挙げられます。
また、辞退でなくても自社が採用される可能性が低い場合、しっかりと力を入れて提案してくれない懸念も生まれます。
候補になっている企業数が多い場合は、
- なぜその企業なのか
- 自分たちにマッチしそうかどうか
といった点を判断したうえで選定しましょう。
そのうえで気になる企業へ問い合わせし、コンペに参加してもらえるかどうかを確認しましょう。
しっかりとした提案をしてもらえるよう、心を開いて条件や思っていることを共有しましょう。
移転・改装プロジェクトの要望と予算のバランスを適切に
移転・改装プロジェクトの予算総額をコンペ要項に記載することとなります。
その際、設計パートナー企業からみたときにその予算が低すぎる場合は、辞退される場合があります。
理由は、設計パートナー企業の利益が圧迫されるためというより、その予算では
- 幅広い提案ができない
- コンペ要項に記載されている要望を叶えるオフィスは作れない
と判断されるためです。
要望に対してあまりにも低い予算とならないよう、要望と予算のバランスをとっておくことが重要です。
オフィスの改装や移転の費用目安については、以下のコラムを参考にしてください。
→ オフィスデザインと工事の費用目安は?改装や移転の実例金額も紹介
コンペの期間やプロジェクト全体の期間を適切に設ける
コンペの期間やプロジェクト全体の期間のスケジュールが厳しすぎる場合も、辞退される可能性が高まります。
スケジュールに明らかに無理がある場合は、参加してもらえません。
コンペの期間に関しては先述のスケジュールを参考に、適切な余裕のあるスケジュールを組みましょう。
また、プロジェクト全体のスケジュールに関しても無理のないスケジュールを立てることが大切です。
オフィス移転のスケジュールについて詳しくは以下の記事を参照ください。
→ オフィス移転のスケジュールは?遅れる原因や企業ごとの違いも解説
5.プレゼンテーションでは十分な質疑応答時間を設ける
オフィスデザインコンペにおいては、成果物を提出するだけでなく、設計パートナー企業各社がその案を説明する、プレゼンテーションを実施することが大半です。
コンペを開催する側と、コンペに参加する設計パートナー企業の双方にとって、プレゼンテーションの成否が選定に大きく影響します。
提案内容をしっかりと説明してもらい、内容をきちんと把握したうえで審査できるよう、適切なプレゼンテーションのタイムスケジュールを設定することが重要です。
タイムスケジュールは、プレゼンテーション45分・質疑応答15分が一般的
コンペを開催する側にとって、プレゼンテーションでは「安心して任せられるなと判断できる」ようにすることが重要です。
疑問がなくなるぐらい、質問をしたほうがよいでしょう。
一般的には、1社につき1時間の時間が設けられていることが多いです。
内訳は、
- 45分間が設計パートナー企業によるプレゼンテーション
- 15分間が質疑
となることが多いです。
プレゼンテーションの時間は、30分では短すぎるでしょう。
また、質疑が15分を越えることも多く、延長した場合でもあとのスケジュールに影響がでないようにする必要があります。
1社目と2社目の持ち時間の間には、30分~1時間程度間を空ける方が安全です。
連続してプレゼンテーションを聞くことにならないよう休憩時間に使ったり、パソコンの接続トラブルなどの対処時間に充てることもできます。
また、各社にはプレゼンテーション開始前には会場に到着してもらうようスケジュールを設定しましょう。
各社にそれぞれ控室を用意し、設計パートナー企業同士が顔を合わせないような工夫も必要です。
質疑応答で尋ねるべき質問
次に、プレゼンテーションの質疑応答時間に尋ねるべき質問をご紹介します。
基本的にはプレゼンテーションを受けて、説明が不十分だった点や不明な点を尋ねることとなりますが、次のような視点も参考に質問しましょう。
- 他の設計パートナーの提案内容をふまえ、それと比較したような質問
- 提案内容のグレードに関する質問
他の設計パートナーの提案内容をふまえ、それと比較したような質問
各社の提案内容をみると、コンペ前に想定していた内容を超えた提案も生まれます。
そういった新しい視点を踏まえて、質問内容を考えるのも提案内容の深い理解に繋がります。
例えばA社の提案にSDGsを意識した提案が含まれていたとし、B社にはSDGsの視点においての説明がなかったとします。
そういった場合に、B社に対してSDGsに対する配慮を含んでいるのかどうか、どういった点が提案内容に反映されているのか、といったことを質問する、といった具合です。
提案内容のグレードに関する質問
各社の提案内容には、例えば内装材や使用する什器に対する説明も通常含まれています。
内装材や什器には質にグレードがあり、価格と比例することが多くなります。
- なぜそのグレードのものを選択したのか
- グレードを下げた場合どういった懸念が発生するのか
といったことを質問することで、提案側の認識を確認することができます。
各社が提案している範囲やグレードに違いがあると、大幅に金額差が出るため、しっかりと内容を把握する必要があります。
例えば「A社はエントランスのサイン部分までしっかりとデザイン提案していたが、B社はそういったデザイン提案は含んでいなかった」といった場合、合計金額はB社の方が安くなると考えられます。
そういった内容の違いを踏まえておかないと、審査の際に適切な判断ができなくなってしまいます。
45分間のプレゼンテーションの中では、省略されている内容もあります。
そのため、合計金額だけで提案内容を判断せず、明細からしっかりと理解する必要があるのです。
そのためにも、不明な点はその場で質疑する必要があります。
6.審査基準をあらかじめ決めておく
各社を感覚的に審査するのではなく、オフィス移転・改装の目的に沿って審査するためには、審査基準を設けておくことが重要です。
プレゼンテーションのあとに審査基準を作成するのではなく、それまでに作成しておくとより厳密な審査が可能となります。
採点表を作成する場合が一般的です。
例えば、
- 予算内に収まっているか
- 要項書で依頼した内容を実現する提案になっているか
- デザインテイストなど、見た目がよいか
- スケジュールが適切に立てられているか
- 企業の信用度があるか
といった項目を立て、それぞれに対して重要度に応じて配点を決めておくこととなります。
また審査後、審査結果を参加した設計パートナー企業に対して開示することもあれば、開示しないこともあり、自社の考えに沿って実施するとよいでしょう。
まとめ
以上、オフィス移転・改修を手がける株式会社オリバーの視点から、オフィスデザインのコンペを開催し成功するための6つの工夫をご紹介しました。
- オフィスデザインのコンペを開催するべきかどうかの判断を行う
- コンペ期間を含めた余裕のある全体スケジュールを立てる
- コンペで依頼する内容をしっかり練っておく
- よい業者を選定し、コンペ参加の依頼をする
- プレゼンテーションでは十分な質疑応答時間をしっかり設ける
- 審査基準をあらかじめ決めておく
コンペは、よりよいオフィスを実現するために有効な手段です。
ご紹介した6つの工夫を参考にオフィスデザインのコンペを開催されてはいかがでしょうか。
オリバーでは、オフィスデザインのコンペにも数多く参加し、オフィス移転・改装のプロジェクトを数多く手がけてきました。
オフィス空間づくりにお困りの際は、ぜひ当社までお気軽にご相談ください。
オフィスブランドPLACE2.5では、お客さまのビジョンを実現する、唯一無二のオフィス設計を行っています。
また当社では自社オフィスのオフィス見学を実施しています。
詳しくは以下のページをご覧ください。